長針と短針、違いは何か
カゲトモ
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「ねぇ、どうやってあの人たちは付き合ったんだと思う?」
「え、何の話?」
甘味の全くないブラックコーヒーを差し出しながら訊いた。急にどうしたってんだ。
「ほら、さっき見たでしょ。駅前で」
「駅前?」
聞き返す俺に孝宏は呆れたようにため息を吐いた。
「いたでしょ、若い女の人と歳の離れたおじさんのカップル」
「あー」
確かに、居たけども。さっき偶然駅前で孝宏と合った時に、駅に向かって歩いていた二人組。
男性の方は中年の男性で、女性は若い子だった。多分だけど、あれは恋愛感情の絡むカップルじゃないと思う。って、これ高校生に言ってもいいのか? 孝宏だって男の子だし、別にそう言う関係があるってことを知らない訳じゃないだろうけど・・・でも孝宏だからなぁ。万が一知らないってことも「やっぱり付き合ってはいないのかな」
「え」
「歳が倍くらい離れていそうだし、カップルって言うよりも親子って感じの年の差だし」
「ま、まぁ」
「付き合ってないのかな」
「さ、さぁ」
そんな真面目な顔して言われても。その可能性も大いにあるけれども、絶対にそうだとも言い切れない訳じゃん?
「でも、二十の年の差で結婚している人だって世の中にはいる訳だし、もしかしたら本当に付き合っているのかもよ」
芸能人だけでなく、本当に大きく歳が離れて結婚している人もいるし。
「商店街の文房具屋の玉川さんとか、確か奥さんと十五歳くらい離れていたと思うし」
「ふーん」
って聞いておいてその態度かい。興味があるんだかないんだか分からないったら。
孝宏は昔からそうだ。修行先のマスターの孫で、小さな時から知っているけど全然変わらない。表情筋が死んでいる、とまでは言わないけれど、孝宏の気持ちを読むには少しのリアクションも見落とさないスキルが必要だ。
「じゃぁさ、逆はどうなんだろ」
「逆? 男の方が若いって事?」
「そう。女の人の方が若いってパターンは多いじゃない? 昔からそうだけどさ」
まぁ。平安時代とかそんな時もオッサンに十四、五歳の子が嫁いだりしていた訳だし。
それに単純に男の方が年上の場合はあんまり不都合がないのかもしれない。年齢が上がれば金だって持っているだろうし、健康で元気なら子供だって望める。でもその逆は・・・いろんな面でリスクが高い。
「男が若いパターンは、やっぱりダメなのかな」
「どうしてそう思う?」
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