第14話;「ロッド」BLじゃないはず

西の果ての国ジャラザンにある、アカネの『サンセット商会』の執務室、

副社長となったロッドは、ジャラザン王室からの依頼書を眺めている


男尊女卑の酷いこの国は町に女性は殆ど歩いて居ない、

どうしても外に出るときは男性の肉親か夫と一緒で無ければならなかった、

それも頭から黒いローブで全身を隠しながら


かといってそれは不幸だとはこの国の女性は思っていなかった、

それが当たり前だったから、他所を知らないからであった

それに、黒いローブの中は色とりどりの模様で染めあげた

綺麗な布を,着るように巻いていて、宝石を惜しみなく使った装飾品をまとってる


そしてこの国はアカネの嫌う一夫多妻制だった、

妻になれば育児と家事とたまに開かれる身内のパーティの準備くらいだった

裕福な家はそれでよかったが、貧民層は買い物も命がけ

身内に男性が居なく正規の従者は雇えない、すると闇の従者斡旋業者に依頼

でも身内じゃないとばれると、憲兵に殺された例がある。

働く所も限られており、特産の絨毯の職人か、メイド、遊郭、くらいしかない、

金持ちの妻になれなければ地獄であった。


町の外は永遠とも思える砂漠、魔樹は無いが、魔素が多く含まれた砂の中には狂暴な魔獣が潜んでいる

そんな国のオアシスの首都『シューベット』

アカネ、もとい、ロッドにとっては居心地の悪い国だった


ロッドがこの国に来た理由は、元(もと)人相の悪い連中のことであった、約1年、彼らは商会にとっても商会のある町にとっても無くてはならない存在になっていた


暗殺者集団の残党が自分の会社の従業員を狙っている、経緯はどうあれ、今は大事な従業員、守らなければならない、それには元凶を探る必要があると考えた


「何気にさらに強くなってんだが、商売やっててレベルアップって・・・あいつら何やってるんだ?」


(先日判定水晶の実験と言って呼び出し彼らを鑑定したら、レベルがかなり上がっていて、スキルも増えてて<女神(アカネ)の加護>(経験値1.5倍、レベル上限+10、精神魔法防御、探索魔法防御)

が何人かについてた、私の加護?いつの間に・・・自分で知らない間にって言うのは最近よくあるので・・・しかし判定水晶も中々数が揃わないな・・・)


「ま、あのレベルなら刺客が来ても対処は出来るだろうが、何かあってからでは自分の気が済まないからな・・・」


「旦那様、王宮から迎えの馬車が参りました」

ロイが執務室の前で軽くお辞儀をして言った

この国の商会の従業員は全て男、

執務室を抜けて事務所を通り、店を横切って迎えの馬車の方に向かう

「男ばっか・・・むさっ苦しいな・・」

「旦那様、同感です」

しばらくアメリア皇国に居た時は、その可愛らしさでお姉様方にモテモテのロイだったが、

此処では殆ど女性に会わない・・・

(ロイは女性のおっぱいが気に入ったみたいだったな、マセガキが!)


「ロッド・ロード・レオン様、王がお待ちです、従者の方もどうぞお乗りください」

迎えに来た使者が丁寧に言ってきた、

使者と私とロイが馬車に乗りこむと馬車は王宮に向かって走り出した

使者がいきなり話し始めた


「サンセット商会の社長は女性とか?いずれはレオン様が社長になられるのでしょう?」

「なりませんよ、ずっと彼女が社長です、彼女の下で働けて嬉しく思いますよ」

訝しげな顔に変わる使者


「女性が社長など務まる訳がないと思いますが?」

「自分の国の理念のみで考えると世界に置いて行かれますよ、アメリア皇国の時期王も女性ですし」

「え?」

「知らなかったのですか?」

「えっ?でも王子もいらっしゃいますよね?」

「アメリア皇国では男女関係なく長子が後継者ですよ、よっぽどの不適合者じゃない限り(女神の子孫にそんな子供が生まれるとは思えないけど)多分知らなかったのはこの国の人だけだと思います、女性は表に出ないもの、そういう習慣もこの国のみですから」


「女など弱くて囲わないと生きていけないものです」

「は~・・・そうしてるのはこの国の男達では?、本当は女性は強いですよ、ドラゴンを軍隊を率いて討伐する女性冒険者が居ますし、それに他の国では経済の発展のカギを握るのは女性と考えていて、女性の話を多く聞いています、女性の強い国は豊かですよ、本当にこの国は商売人には退屈な国です、撤退も考えているところです」


「え?そうなのですか?それは困ります」

かなり慌てる使者、この国の物資の2割は『サンセット商会』が取り扱っている、商社が無かったこの国に始めて参入した会社なのもあり、結構独占に近い商品もある、焦るのも無理はない


そうこう言っている間に王宮に着いた


(偏った考えの人間と話すと疲れる・・・)

大きなため息をつきながら、金色に輝くムスクに似た王宮を見上げて

(ちょっと趣味悪)

とつぶやきかけた


建物の入口についいた

馬車から降り宮殿の廊下を使者の後ろをついて行く


「旦那様、くれぐれもお気を付けてください」

小さい声でロイが言う


男性になってかなり戦闘力が落ちたロッドだった

なにせ、女神スキルが使えなくなったから

それでも戦闘力は、母が1位、ルナ2位、次に強い、世界3位だが、毒や精神攻撃に弱くなったのは確かだった

アカネがぶっちぎりに強いから、違和感があるのだろう


(ロッドは、ロイに自分が手を出したものしか食べない様に言われている、毒の鑑定はロイのほうが上だからだ)

「お酒も、程ほどにしたほうがよろしいですよ、それも私が良いというものしか飲んではいけません」


ロッドになって久しぶりに酔うという体験をした、

それでも屈強な男どもに負けることは無いが、吐くまで飲んだのは前世以来だった


案内された部屋に入ると、色鮮やかな絨毯に王が座り

その周りを重鎮達が円になって座って要る、一角空いている所があり、そこに案内された


「よくぞ参られた、ロッド・ロード・レオン殿、座られよ」

「お招きありがとうございます」

お辞儀をして、あぐらをかくように座る


「さて、依頼の物どうだろうか?出来そうか?」

「それですが、この<眼鏡探知機>ですが、それを対象を人にして捜索範囲を拡大と言うことですが、研究者は人にはこの構造では無理だそうです、印(しるし)は汗やシャワーなどで落ちますし、捜索も10メートルが限界だそうで、ご期待に応えられず申し訳ありません」


<眼鏡探知機>

そのままの意味で、眼鏡を探す魔法具、よく眼鏡どこ行ったと探すお年寄りが多いため、先に印のつけた眼鏡が、魔法具の表面に自分中心に場所が点で写る道具、殆ど冗談で作ったのだが・・・・結構売れた


魔法のサーチ、よくアカネが使っているが普通の魔法使いは使えない、そういう認識が無いのだ、

父も母親も仕えなかったが、ゲームのマップ感覚が無いと無理で、母は教えたら使えるようになったが、父は無理だった、想像出来ないのだ、素質はSランクなら有るのだが

向こうに何かいる、程度ならある程度のレベルの者なら出来る


この国のSランククラスがことごとく居なくなり、かなり焦っているのが分かった、何を探そうとしてるのか明らかだが、印(しるし)を最初に付けとかないと意味が無いのだが・・・



「そうか、引き続き研究をお願いできるか?資金なら出す」

「かしこまりました、資金援助は結構ですので、もし完成した時に色を付けていただければ結構です」

「そうか、その他のはどうだ?」

「申し訳ありません、犯罪に使われそうなものは、お断りいたしております、呪術を使えるようになる魔法具など、呪術のなんたるかもよく分からないのに無理ですし、犯罪の臭いがするのですが、どうするおつもりですか?」

(なんでこんなにストレートな依頼してくるんだ?馬鹿か?こいつら)

「犯罪など・・・昔からの我が国伝統のものなのだが、使い手が居なくなってな、伝統の復活のためにお願いしただけだ、そうか無理か」

(アカネなら作れるけどね、ロベルトに渡したあれを使えば・・・でも作る意味ないし)


「砂漠の緑化と水を生み出す魔法具は完成しそうですので、見積もりと工期を後日ご連絡致します、かなりの値段になりますが大丈夫ですか?」

「それは、吉報じゃな、お金は問題ない」

(本当か?未払いがまだあるんだがな・・・)


「では、商談はこれくらいにして、宴じゃ」

王がそう言うと料理とお酒が運ばれてきた

ロイに緊張が走ったのが伺えた

(わたしでも分かるものが2皿か、毒ではなさそうだ・・・なんだろう?)

「ロッド様、食べていいのは左の生のフルーツ盛り合わせのみです、お酒は全部だめですね・・・困りました」

(飲むのが無い、食べる者が無い)


「さぁ乾杯!」

飲むふりをして口に入れずに瞬時にお酒を移転させていた

「ロッド様?どうぞ!」

何時の間にか肌もあらわな女の子たちが横に座っていた

そして軽快な音楽と共に露出の高い衣装で踊りだす踊り子たち

(この外と内の差、どうかね~、横の娘はどう見ても13歳くらい?、子供じゃん)

身体を摺り寄せてお酌をして来た、

(子供にそんなことされても、ロリじゃ無いからそんな気にならないな、父親感覚になってしまう)


そういえば、接客中に変な質問してきた奴がいたな

「副社長さんはどんな女の子が好みで?」

そうちょっとガラの悪いおじさんが言ってきた、他の国から来たが女の子が居なくてつまらない話からそうなった

「そうですねぇ丸顔で可愛い感じの子で、年下がいいですね、成人少し前(17~19歳、前世感覚)くらいですかね」

「丸顔で可愛い感じの成人少し前(13~15歳、今世感覚)ですか?」



(あ・・・・そういうことか?これはハニートラップか・・・年齢の相違がなければ気が付かなかったかも・・・)

たわいのない話を王としながら、食べるふりも結構めんどいと思い始めた頃

隣の女の子たちの様子がおかしくなってきた、女の子たちは、普通に目の前の料理を少し食べていた

(異常状態:媚薬投与)

(毒ではなかったが、何を入れてんだこの王は!女を与えて取り込もうと言うわけか・・・やはり滅ぼそうかこの国・・・・)

『物騒なこと考えないでくださいよ』

ロイが念話もしてないのにそんなことを古代語で言った

(知力セバスほど上げてないのにこの知力恐ろしいわ、毒の知識も半端ないし)


油断していた、媚薬に酔った女の子たちがロッドに絡みついて来たのだ

女の子はお酒を口に含むと、両手でロッドの顔を抑えて口づけてきた

「うっ!ごっくんっ」

女の子はニッコリ笑って

「ロッドさまぁ~」

と甘い声を出してくる

(やばい!飲んだ)

絡みつく柔らかい体に、それまで何とも思っていなかった女の子たちにドキッとした

くらっと目眩のような酔った感じがしてくる


「どうされたロッド殿、酔われたか?部屋を用意してある、休まれるがよかろう」


そううながされだまってそれに従った、両脇に女の子が絡みつくようについてくる

「ロッド様!」

ロイが心配そうに叫んだが、そっと大丈夫だという合図をした

「従者殿には別の部屋を用意してあります、そちらへどうぞ」


案内された部屋には大きな天蓋付きのキングサイズのベットが置かれた客室

ベットの傍に来ると、女の子たちがロッドのベルトをはずそうとしてきた

すっと二人の頭に触ると二人はそのままベットに倒れた

「すーすー」

寝息が聞こえる

「ほんと、ロリじゃ無くてよかっよ、しかしこの股間どうそうしようか・・・なんてもの盛ってくれるんだ」

二人をベットに綺麗に寝かし直して部屋を出た


「やぁ、ジュード」

王宮の警備兵の詰所に来ていた

「ロッドの兄貴!」

「何度も言うように私の方が年下だ!15も上の弟はいらん!」

「いえ、年齢は関係ぇねぇ、力が上だから兄貴だ」

「・・・は~・・・」

「で、兄貴こんな所になんで・」

「招待されて泊まってんだが眠れなくてな、少し相手をしてくれないか?」

「本当っすか?是非に」


盗賊討伐の際にたまたま通りかかったロッドが、苦戦していた警備兵を助けたのが原因で、警備兵には慕われている

「皆、こんな機会ないぞ!胸を借りれる!腕を上げるチャンスだ!」

「え?おまえだけで良いんだが・・・まっいっか」


それから朝方まで訓練をすることになったロッド!

狙い通り目撃者多数!寝室に5分も居なかったことを証明してやった

ハニートラップが失敗して、大いに怒った王だったが、八つ当たりに女の子達を殺そうとした

が、反対に吹き飛んだのは王だった、女の子に危害(いやだとおもうこと)が加わろうとすると発動するトラップ魔法吹き飛ばし!


もう駒として使えない、処分も出来ないので

二人は王宮から追い出され、その足でロッドの元を訪れた(男の子の恰好をして)







「で、王子?何故このようなところにおいでに?社長はここにはおられませんよ?」


西の果ての国ジャラザンにある、アカネの『サンセット商会』の執務室、

副社長となったロッドは、目の前にいるロベール第2王子を見て少し顔が引きつっていた


執務室で二人っきり、ずんずんと目の前に来るロベール第2王子に少しビビっていた


「ロッド殿でしたか?」

「はい、ロッド・ロード・レオンと申します」

「私はあなたがどんな姿でも、好きです」

「え?・・・・・」


顔が近づく・・・・唇が触れた

がたんっと椅子から転げ落ちるロッド

被さってくるロベール第2王子

唇が重なる、いつもより濃厚に感じるのは気のせいか?男の方が遠慮ない?

「ロベール!」

身体を離そうと抵抗する、力が強くなってはずなのにまた組みしかれる

ロッドの股間にロベールの手が行く

「!何を!」

そして魔力が体をなぞるように這う


風が舞う

ロベールを吹きとばした


「何をするんですか!私は男ですよ!」

「解ってますよ、言ったじゃないですかどんな姿になっても好きだと」


「なぜ?解った?」

「愛の力です」


【セバス】;申し訳ありまふぇん

(セバス?何?どうした?)

【セバス】;死ぬかと思いまふぃた

(セバス?口調可笑しいよ?)


(あれ?念話なのになぜ口調が?精神異常も来てるのか?)


「セバスに何した?」

「貴方のことを教えてくれないので蹴りを数発と自白強要魔法をを少々」

「そんな魔法があるのか?なんてことを・・・どうした?様子が可笑しいぞロベール王子」

「あなたが、居なくなるから行けないんですよ」


(ロベール王子が最近切れなくなったよな)

そう言ってたのはロベールの部下じゃなかったか?

ただ優しいだけの人間がレベルが99になる訳がない、その時まだロッドは気が付いて居なかった


再度近づいてロッドにまたがり、上から見つめるロベール、その奥に見る欲望にロッドは戦慄を覚えた

ロッドのままでは今のロベールに叶わないそう思えた、あっちの貞操の危機に蒼白のロッドだった

ロベール王子の顔が近づき、ローベールの手がロッドの股間にいく

「うっやめろ!」


シュッ

ロベール王子の顔の横に手裏剣がかすった

それは、ロッドの顔の横にそのまま刺さった

ロベール王子の顔にすーと血が滲む


「離れろ!」

ロイが天井から降りてくる

「結界張ったんですが、最初から結界内に居たんですね、気配全く感じませんでした」

「王子ですので、警戒のみにしてましたが、主(あるじ)が明らかにあなたを拒んだので、対応させていただきました」

「ロッドが拒まなければ?」

「なにもしません、五感を塞いで待機しておりました」


「ちょっと待て!そこはどんなときでも助けろよ」

「ルナ様に、アカネ様ロッド様の色恋には、男女問わず放置、ロッド様のときだけ愛人を多く作らないようにアドバイスをと言われております」

「私は、ビッチにスケコマシ扱いですか?ルナ~!未経験(現世)の私に対してなんちゅう対応なんだ!」


「どちらも私が初めての相手をしますよ、あなたなら私を女性に変えることも可能では?」

「・・・・」

「可能なんですね、楽しみです」

「いや・・・しないし、とりあえず上からどいてくれないかな?」

「そうですね、今はどきましょうか」

すっと顔の傷をを自分でなぞって消すロベール

「影としてはとても優秀な方ですね」

ロイのほうを見て言った

でもロベールに何時もの笑みは戻っていない

「セバスチャンは魔族なんですね、上手に隠蔽してましたね流石です」

「・・・問題ある?」

「そうですね、わが国では問題ありますね、魔族とは敵対してますから、先日の皇女の件もありますし、ま、父上があなたを糾弾することはありませんが、他の貴族達はあなたの事を利用して王を排除しようとする者が現れるかも知れません」

「え?まずいんじゃ・・・」

「大丈夫ですそう言うものは私が排除しますから、でもばれないようにお願いしますね」

ぞくっと背筋が寒くなった、ロベールを見るとこちらを鋭い眼で見つめている

ドキッとしたロッドだった


(しかし、BL(ボーイズラブ)もOKなんだロベールって・・・慣れてたような・・・まさかね)






















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