0-2【しかし、安心してください】
☆ランサー
(マジカル☆……ロワイアル……?)
目の前の男性が呟いた言葉を頭の中で繰り返す。金髪の縦ロール姿になっている姿をスマホを鏡のように確認して、彼女は息を吐く。
夢かと思った。しかし。あまりにも現実味がある風景に、匂い。それでもこれを現実だと認められてない自分もいた。
手を握る。感覚はある。が、しかし、彼女は金髪縦ロールといった髪型をしてはいない。ストレートヘアというものである。
しかし今は違う。髪も顔も服装も変わった。まるで魔法少女のようになっている。そのおかげで今を夢だと認識しようとしていた。
まるで現実と空想の狭間にいるようだ。そう考えて、目の前の男性を見る。彼はペラペラと何かの説明をしていた。
それと同時にスマホが鳴る。どうやらこのメールを見れば何が始まる変わるらしい。周りを見ると、皆が皆メールを読み始めている。遅れないようにと、彼女もメールを読み始めた。
◇◇◇◇◇
☆ルール説明
クリスティア・アルミシィ。現ランサー様。此度はマジカル☆ロワイアルに参加していただき、誠にありがとうございます。それではルール説明に入らせていただきます。
1貴方たちは今からとあるゲームに参加してもらいます。ルールは鬼退治てす。便宜上。JOKER GAMEと呼ばせていただきます(以下JG)
2ルールは単純。貴方たちの中にいるジョーカーを倒すことです。もし倒した場合、その倒した人物は願いを一つ叶えることができます。
3貴方たちは魔法少女です。全部で18名いるそれは、戦闘職と補助職に分けられます。まず、戦闘職は
セイバー
ランサー
アーチャー
ガンナー
ファイター
ブレイカー
ヒーロー
スペクター
ブースター
ソルジャー
バーグラー
ジョーカー
補助職は
シンガー
ガードナー
キャスター
ギャンブラー
パペッター
クリエイター
です。
4戦闘職と補助職はペアで同盟を組むことができます。それにより、願いを二人分。叶えることができますので、かなりお得です
5貴方たちには一つ。素晴らしいスキルが与えられてます。それを使えば、大逆転も可能!かもしれません。
ランサーのスキルは
「我が命を聞き遂げよ」
効果は
相手に一つ命令できる。ただし、体に触れて目と目を合わせなければならない
です
6貴方たちが今から戦う島は、施設があります。温泉、病院。商店街。住宅街。港。浜辺。城。駅、です。その他のエリアは便宜上森エリアと呼びます。地図はのちに送信します
7この島には怪物がいます。彼らは襲いかかってきますが、倒した場合。美味しいご飯を確立で落としてくれます。ですが、逆にあなたが倒されるかもしれませんので、ご注意を
8もし誰かが死んだ場合。その殺された相手と殺した相手を皆さんにメールでお伝えします。
9good luck!!
◇◇◇◇◇
☆ランサー
馬鹿らしい
ここまで読んで思い浮かんだ答えがそれだった。こんなこと、娯楽の域に達してない。ふざけている。そう考え、それと同時にこれは夢だと確信する。
しかし、叶えたい願いはある。彼女はとある小さな小さな国の王者であり、そこは地図にも載ってないほどである。ならば、そこが有名になれば……彼女はそう常に思っていた。
だが、こんなふざけたゲームに付き合い、道化になる意味もない。早々に文句を言おうとした矢先、先ほどの男性が口を開ける。
「では、みなさん。早速ですが、まずは真っ先に大切なものを思い浮かべてください」
そう言われてランサーは「は?」と呟く。しかし、なんとなくその言葉も馬鹿らしいという気にはならなくて、目を閉じて大切なものを思い浮かべようとする。
大切なもの……
大切な……
……
「は?」
彼女は気づいた。そして、頭を抑え、地面に座り込む。こんなことあっていいのか?そう思い続けていた彼女を見かねてか、男性が口を開けた。
「我々は貴方たちから参加費を……大切なものの記憶をいただきました。これを再び手にする方法はたった一つ。ジョーカーを殺す。それしかありません」
「ちょ、ちょっとまちなさいよ!!そ、そしたら……殺してない人は……どうなるのよ……!?」
「記憶は帰ってきません。しかし、安心してください。その場合我々はその大切なものを消します。そうすれば後腐れありませんものね」
貞子のような格好をした少女の言葉に対し、大人はそう冷淡に言葉を返した。その瞬間、あたり一面でざわざわと騒ぎ声が聞こえ始める。
ランサーはすでに、これを夢だと捉えることはできなくなっていた。殺さなければ、名も知らない大切なものが消えてしまう。そんな恐怖が彼女を包み込み始める。
「この部屋から出たら、この島のいたるところに飛ばされます。そして、ちょうど2時間立った時……このエンタテインメント、J G開始です。島の施設は全て自由にお使いください。では、我々はここら辺で……good luck!」
そう彼はいい突然姿を消した。残された者はある者は下を向き、ある者は考えるように顎に手を当てはじめ、ある者はこの奇妙な感覚にどう対応すればいいか、わからなくなっていた。
しばしの沈黙が流れる中、突然一人の少女が部屋の真ん中に歩き始める。ペストマスクをつけたコート姿の女性は、ぺこりと頭を下げて口を開ける。
「やぁ!ジョーカーだよ!ジョーカーは一足先にこの部屋から出るけど、また会えるのを楽しみにしてるよ!じゃあね!!」
そう呟いてジョーカーと名乗る女性は部屋から出て行った。残された17人はただ、ぼーっとその出口を見つめることしか、できないのだった。
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