第17話 奴隷の男
男は何処にでも居る一般家庭の子供であった。
だが安定とは程遠い生活を基本とするその日その日暮らしで生きている以上一つの出来事が全てを狂わせる。
狩りに出掛けてそのまま帰らぬ人に…
盗賊に襲われて帰らぬ人に…
人拐いに遇って…
事故で…
たったその一つの出来事で全てが狂うのは良くあることであった。
男は親が病で倒れ薬代と引き換えにその身を奴隷へと落とした。
毎日一食ではあるが食事が取れる、それだけでも男は幸せであった。
いや、そう思い込もうと努力し生きている事に感謝を忘れずに生きていた。
しかし、そんな男を買い取ったのが盗賊だったのが再び男の人生を狂わせる。
奴隷に落ちても幸せに暮らせる人間もいるので単に運が悪かったのだろう。
主人となる者から奴隷へ施される誓いと言う名の呪縛が施され男の自由も人格すらも封印された。
しかし、偶然ではあるがそれが解かれる時がやって来た。
「ぐわっ?!」
突如頭上から降ってきた岩が頭や体にぶつかり奴隷の男は倒れ込んだ。
頭から血が流れその血が左目の中へ流れ込む…
「死んじゃう?もう死んでるよ…ギャハハハハハハ!!」
「ひっ…」
声が聞こえて顔を上げた男の脳内に声が響き男はその声で視界が真っ赤に染まった。
『デスゲームメーカーの準備が整いました。発動しますか?』
その声で男の記憶は混ざり全てを理解する。
「そうか…俺は…」
目の前に居る真っ赤に見える少女の姿があの娘と重なる。
奴隷の呪縛により抵抗の出来ない自分が出来る唯一の事に男は助けを求めるしか無かった。
「神様…」
聞こえたその言葉に男は願う!
「神は神でも死神だがなんとか出来るなら何でもやってやる!だから…やれ!」
その瞬間洞窟内へ黒い影が表れその場に居た全員の脳内へ声が響き渡った。
『最下層まで逃げよ…LIFE1』
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