第16話 残死と声

ガッガッガッ!!!

踏まれ蹴られ呻き声しか上げられないロッツォをいたぶりながら長髪の盗賊は告げた。


「隠れてないで出てこいよ!でないとこいつが酷いことになるぜ!」

「だ…駄目だ…リリン…出てきちゃ…」

「あーん?お前ウザいな」


息も絶え絶えのロッツォの髪を掴んで吐き捨てるように告げて岩へその顔面を叩き付けた!

飛び散る血がその悲惨さを告げる。

何度も…何度も…叩き付けられるその様子を何処かで見ていたのだろう。


「止めて!」


リリンがその姿を表した。

分かれば何の事はない、すぐ近くの横穴に隠れていたのだ。

その言葉に最後にもう一度ロッツォの顔面を岩へと叩き付けた!

グチャッと肉が潰れる音に顔を歪めたリリンは叫ぶ!


「もう止めて!ロッツォが死んじゃう!」


その言葉を聞いた長髪の盗賊はロッツォの髪を掴んで顔を持ち上げそれをリリンへと見せる。

陥没した顔面は既に原型を留めておらずどす黒い血が滴るそれを見せながら盗賊は…


「死んじゃう?もう死んでるよ…ギャハハハハハハ!!」

「ひっ…」


その場にペタンと座り込むリリンの下は漏らしたのだろう液体が流れていた。

ロッツォをそのまま捨てるように横へ投げた盗賊はリリンへと近付く。

リリンにはもう逃げ場は無かった。

村は占拠され追い詰められロッツォも殺された。

小さくリリンは口にした。


「神様…」


一筋の涙が頬を伝い膝へと落下した時であった。


『最下層まで逃げよ…LIFE1』


その場に居た全員の脳内へその言葉が響き突如大地震が襲い掛かるのであった!

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