第11話 二人の子供

大きな国同士を結ぶ街道から横道に入りここを通った者の踏み固めただけの道を数日進んだ場所にある辺境の村。

僅か50人ほどの人間が暮らすその村の名前はココナハの村。

自給自足で月に一度旅商人が物を販売しにくる位しか外と関わりを持たないそのココナハの村に一人の少年が居た。


「ほらっリリンちゃんが迎えに来てるわよ」

「はぉ~い…」


金髪のボサボサ頭は寝癖で跳ねて目は寝起きを丸出しの状態で母親に出された着替えに着替える少年。

セロリのような野菜を一本口に入れてかじりながら玄関を開けるとそこには金髪の少女が立っていた。


「遅いロッツォ!また寝坊したね?」

「いやいや、起きてたさ」

「うそ!寝癖も酷いし顔も…あっ悪いのは前からか」

「ほっとけ!」


笑いながらいつもの穏やかな村の中で朝日に照らされる二人は村でも唯一の子供である。


「ほらロッツォ!忘れ物だよ」

「あっごめん母さん」


家の中から母親が手作りの篭を渡してくる。

今日は二人で村の近くにある林で山菜採りをする予定なのだ。


「おばさま、おはようございます」

「はい、おはようリリンちゃん。今日もロッツォをお願いね」

「はい!」


元気よく返事をしたリリンは手を差し出しそれをロッツォが握って引っ張られるように二人は村の外へ向かっていく。

変わらないいつもの光景、だが平凡な日常が今日で終わることを誰も予測していなかった。





「さぁ野郎共、狩りの時間だ」


森の中から聞こえるその声は村の誰にも聞こえていなかった。

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