第7話 白根の父

『学生集団変死事件、唯一の生き残りも意識不明の重体』


見出しに書かれた新聞を開き長椅子に腰掛けるスーツの男性。

白根 真

白根さんのお父さんで刑事だ。


「優里に一体何が在ったと言うのだ…」


昨夜から寝てないのだろう、意識不明の坂上竜一がもしも一時的にでも意識を取り戻せば娘に何があったのか分かるかもしれない。

その思いで昨夜から集中治療室の前で待っているのだ。

事故にしろ何にしろ意識を失った人間は一時的に意識を取り戻すことがあるからだ。

だがそれがか細い思いだと言うのは竜一の両親がここに居ないことからも分かる。

酸欠による脳死に近い状態に加え腹部への打撲で内蔵が大きく損傷し一部の内蔵が破裂している。

更には肺に重度の炎症が起きて肺炎にもなっていた。

正直生きていると言えるのか分からない状態なのだ。


「一体何があったんだ…」


新聞を閉じて溜め息と共に吐き出された言葉に謎は深まるばかり。

坂上竜一以外は4人死んでいる、しかし4人とも外傷の様なものも無く原因不明の窒息死となっていた。

しかも各々が別々の場所で争ったような形跡も無く無表情のまま死んでいたと言うのだ。


悩む頭をボリボリと掻いて立ち上がった真は病室を覗き込んで目を疑った。

坂上竜一の目が開いていたのだ!


「お、おい!誰か!誰か!!」


静かな廊下に真の声が響くのであった。

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