恩師
「
「えー!?
そのおじいちゃんの正体は……、
つまり先生の先生ですかー!?」
「さよう。
わしは昔、谷の担任じゃった老いぼれじじいじゃ。
それにしても、この眩しさではなかなか目が慣れんで不便じゃろう、それ!!」
「え!?」
うちらは一瞬、反射的に目を閉じると、
またゆっくりと目を開いた。
「ま、・・・眩しく無い!??」
「これで少しは話しやすくなったかのう?
なあ、谷よ?」
「お、お、
うわ〜ん!!」
「谷、どうした!?
久しぶりに再会したと思った矢先、
急にそんな風に泣き出したりして!?」
「谷先生、恩師のおじいちゃんに抱きついて泣いちゃってるな。
よっぽど寂しかったのかな?」
「おや?
へぇ〜!
なるほど!
君は、谷の教え子なんだね?
え〜と、真智ちゃんでいいのかな?」
「はい。
谷先生は担任で、科学部の顧問もやってもらっています。
それにしても、あたしの名前と、あたしが谷先生の教え子なこと、どうしてすぐにわかったんですか!?
もしかして、あたし達の今までの会話盗み聞きしてたんですか?」
「こらっ!
真智、うちの恩師に失礼な言い方するんやない!!」
「ごめんなさい!」
「気にしなくていいんだよ真智ちゃん?
わしは全然気にしていないよ。
それよりさっきの真智ちゃんの質問の答えだけどね?」
「はい!!」
真智は恩師の先の言葉に強く興味を示していた。
「じつはね、わしは真智ちゃんや谷、それに後2名のお友達、合わせて四人の思考をすべてコンピューター言語の様にして読み取ることができるんじゃ」
「どうして、そんなことができるんですか!?」
「今のわしは言うなれば量子的選択アルゴリズムの情報そのものじゃ。
君達の臨死体験情報発現の副産物として偶然結びつけられた生体ニューラルネットワークなんじゃ」
「なんか難しくてさっぱりですが、
だれかに人工的に作られた訳じゃないんですよね?」
「うむ、そうじゃ」
次に恩師はうちの方を向いた。
「ところで、谷?」
「はい!」
「時間が永遠に引き伸ばされる感覚の意味はわかるかな?」
「えっと、確か哺乳類の場合だと心臓の心拍数に……」
「まあ、それもある意味正解じゃ。
じゃがな、わしがいいたいのはもう一つある。
脳の松果体ではセロトニンからメラトニンが生成させるんじゃ。
谷はメラトニンの働きはわかるな?」
「はい。メラトニンは外から入ってくる光の暗さで刺激され、明るさで抑制される神経伝達物質ですよね?」
「そうじゃ。
そしてな、人間を含む動物が感じる時間経過の感覚の正体は脳内のセロトニンと松果体で生産されるメラトニンとの割合の変化に深く関係しておるんじゃ」
「つまり体内時計、そうだったんですか……!!」
「時間感覚についてはこの辺にしよう。
奥に案内しよう。
君達3人も谷と一緒にわしの後ろについて来なさい」
「はい!!」」」」
うちら四人全員が恩師にそう返事をすると、
工場の最深部目指し奥へ奥へと案内された。
3次元現実工場の入口からみて一番奥にある大きな扉に向かっている。
「あの、
「何じゃ、谷?」
「工場の一番奥には何があるんですか?」
「それはな……、
おや!?
いつの間にか、もう目的の扉の手前まで着いてしまったな。
それでは、今から君達を案内しよう!
『無限の知識』の中へ」
———————————————————————
【登場人物】
•谷先生
•
•四葉
•
•丘先生
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