ファントム・ヘル
あたしはクオリアさんの後を追い、小さな異空間の入口に飛び込んだ。
「きゃぁぁぁー!!」
頭がくらくらする。そして、まるで記憶がミキサーにかけられているみたい。
意識が敏感になりすぎて暴走してるんだ。
四葉ちゃん・宙・谷先生の喋り声がスローモーションになって同時に聞こえる。
『カチッ……カチッ』
時計の秒針の音?
秒針ってこんなに長かったっけ?
『ドクンッ!ドクンッ!』
心臓の鼓動がバクバク言ってる。
◆し…………て、
……覚ましなさい!!◆
「だ、誰?」
あたしの目の前には誰かいるんだろうけど、
顔がボヤけてるし声の高低も不安定でわけがわからない。
「やっと意識を取り戻したのね。
全く、心配をかけさせないでよ」
少し時間が経ったからなのかはわからないけど、
目のピントも声も鮮明になってきた。
「クオリア……さん?」
「そうよ!
意識を取り戻したなら早く起きて!
今私達の前にいるのがあなたを……、
未来のあなたと言ったほうがいいわね?
未来のあなたを苦しめる元凶よ!!」
「へ?
目の前って……、
あ、あれぇぇー!!?」
目の前の存在への驚きと恐怖のあまり、
あたしは本能的に後退りしてしまう。
「あ痛っ!」
だけど、片足を踏み外し体勢を崩したあげく尻餅をついてしまった。
「ファントム・ヘルのお出ましね!」
クオリアさんは冷静にそう言った。
あたしとクオリアさんの目の前の存在
ファントム・ヘル。
それは、いつか水族館でみた大きなクジラとさえ肩を並べる程の巨大な脳そのものだった。
———————————————————————
【登場人物】
•
•クオリア
•?
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