臨死体験。いざ、意識のその先へ!
【時系列のおさらい】
真智・四葉・宙の三人は谷先生の研究室に遊びに行き、そこで臨死体験を擬似体験できるマシーンをみせられた。
そして、三人は谷先生からこの擬似臨死体験マシーンを使った実験に被験者として協力して欲しいと頼まれた。
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「谷、谷先生?
死後の世界をシュミレートする装置って確かに言いましたよね?」
「ああ、これがそうやで」
「これ、どうみても病院の集中治療室ですよね?
病院のベッドに脳波や心拍数を測る装置まであるじゃないですか!!
あたしてっきりVRMMOに出てくるナイーブギアみたいにヘッドセットを装着するだけだと思ってたんですが……」
「ヘッドセットならあるやないか!」
「確かに、でもこれって普通のステレオヘッドホンじゃないですか?」
「ああ、そや」
「ああ、そや。
じゃないですよー!
しかも、ヘッドホン繋いでるのって普通のノートパソコンですよね?
リラクセーションCDのサントラ全曲リピートで再生してるだけじゃないですかー!!」
「まあまあ真智、もちつけ!」
「お正月じゃあるまいし、
こんなときに餅をついていられますかー!」
「これはな、単なるリラクセーションCDじゃないんやで。
ヘミシンクって言ってな、
外部の音を使って右左両方の脳波をシンクロさせる音響ガイダンステクノロジーなんや」
「ヘミシンク?
舌を噛みそうな名前ですね」
「そんなことうちに言われてもしらんわ!
ほな、話続けるで。
ヘミシンクを使って聴く音の周波数も大事なんや。うちらの細胞に存在するDNAにはヌクレオチドっちゅうのがあってな、そのヌクレオチドにはある周波数があって、
外部からの528hzの音で共振して細胞の修復を活性にする効果があるんや!
お前ら知っとったか?」
「細胞の修復を活性化?
え? どーゆーことですか?」
「特に真智と宙には言ってもわからんやろなぁ。
まあええわ。
少しオーバーな表現になるけど
お前らにわかりやすく言うとな、
音に若返りの効果があるんや!」
「若返りですか!!
谷先生?
さては臨死体験は表向きの理由で、
本当の目的はそれだったんですね!」
「まあ、それもあるんやけど、
やっぱ1番の理由は一人の科学者として臨死体験を科学的に証明したいんや」
「谷先生、今日は珍しく柄でも無いこと言いますね?」
「ねえ、この用紙何に使うのかな〜?」
谷先生と真智の会話を終わらせたのは四葉ちゃんのその一言だった。
「え? その紙あたしにも見せて!」
「うん〜、いいよ〜」
真智は四葉からその用紙を受け取った。
「う〜ん、1番下には名前を書くところがあるし、何かの同意書みたいだよね?」
「それはだな……」
「先生待って!!」
真智は谷先生の説明を寸前で止めて間に入る。
「あの……、谷先生?
この同意書には命に関わる場合もあるってありますよね?
どういうことなんですか?」
「実はな、擬似的に臨死体験をするには外部から音楽を聴くだけじゃ駄目なんや」
「え?
どうしてですか!?」
「脳の中ではな、幸福感や爽快感、時間の感覚を長く感じさせる神経伝達物質が通常は身体の防御本能から制限を受けて少量ずつ流れてるんやけどな、
その制限を解放して大量に流れるようにする幻覚誘発物質を直接体内へ投与しないと擬似的に臨死体験を起こすことは出来ないんや」
「それって麻薬なんじゃないですか!?」
「そうなんや。普通は麻薬の一種を投与しないといけないから、少なくとも日本では使えないし、
中学生のお前らには尚更や!」
「じゃあどうして、ですか!?」
「うちの作ったこの装置は外部から薬物投与は必要無い。
そしてな、代わりに脳波測定(EEG)と経頭蓋磁気刺激法(TMS)の技術を使う。
MRIを改造して作ったメインユニットの中で、
薬物の代わりに電気で直接脳の松果体に刺激を与えるんや。
ブレインネットで四人の脳を無線接続して意識の一部は共有させる。
ヘミシンクの音響技術と連動させてな」
『ジリジリジリジリジリ!!』
「目覚まし時計!!
谷先生がセットしたんですか?」
「そうや。
装置にうちら四人分の身体データのインプットが済んだみたいやな」
「そう言うことだったんですね!
さっきあたし達が1人ずつ精密検査を受けたのはこの為だったと」
「そうや。
装置の電気代が馬鹿にならんから説明は終わりや。
お前ら同意書に名前書いたみたいやな?
一応聞くで?
後戻りはできんからな。
止めるなら今のうちやで?
本当に実験スタートして大丈夫やろな?」
「大丈夫でーす!!」
「了解!
ほな始める、リンクスタート!!」
真智や谷先生を含めた4人は、MRIを改造した4台それぞれの装置に仰向けに寝る。
そしてアイマスクとヘッドホンを装着してその時を待った。
『ウイーン!!』
装置のスキャンユニット部分が足元から頭の方に移動する音。
『ドクンドクン!!』
真智の心臓の鼓動は大袈裟なくらい大きく脈打つ。
もの凄く緊張してきていたのだから。
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【登場人物】
•
•四葉
•
•谷先生
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