第67話 ノウス

そのですね、僕と結婚するんだ! と言ったミリア姫。


まあぁね、あの場面ではああ言った定番のセリフしかでないですよ。


だいたいねぇ〜、て!ブレイク王!そこで何を頷いているんですか!


「いやな、光がミリアと結婚したなら、光はアレム大国のメイル姫とも結婚するんだから、和平交渉しなくてもアレム大国とのパイプができるだよ」


お〜い、ブレイク王さん。

それは戦略結婚ではないんですかい。

それだとミリア姫が可哀想では?


「光はミリアを心配してくれるのか。うむ!

わしも光が気に入った」


て、何が気に入ったんですかいブレイク王!


で、そこに追い討ちををかけるようなセリフが、


「‥‥‥そうか!光とミリア姫を結婚‥‥‥その手があったか!」


てかアルベル!あんたはさっきまで気落ちしてたんではないのですかい。

横にいるチィーユなんか喜んで、ぼくに向かって右手で親指立ててますよ。


にしても‥‥‥誰か忘れてませんかね?


あっ!そうだった!デーブルでした。デーブルです。あのデブるです。


「誰がデブるだあ!誰があ!、まったく私を無視して結婚話しで盛り上がってんじゃない!」


あ、あの‥‥‥デーブルさん? 僕とミリアの結婚話しは勝手に進められて、


「おまけに幸せそうな顔をして!」


えっ?なんか僕が悪いんですか?


「ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!‥‥‥‥」


あれ?デーブル、ニタニタした顔でなく何か怒ってませんか?


『‥‥す‥‥け‥‥て‥‥』


「えっ?」


『て‥‥たす‥‥‥け‥‥』


「また?“たすけて”?‥‥誰?」


僕達がデーブルを無視?して結婚話しをしていると(僕はまだ決めてませんからね)僕の頭に誰かが話しかけます。


「マー、何か言った?」


マーは首を横に振ります。


『たす‥‥‥け‥‥あの‥‥ひ‥‥おね‥‥』


「なんだ?」


僕はアルベルとチィーユの方を向きますが‥‥‥そんな仕草はありません。


まさかブレイク王か?いやいやあれは女性の声だ‥‥‥まさかミリアて、僕を見てます。目を♡にして。


じゃあいったい誰が‥‥‥


『あの‥‥ひと‥‥デー‥‥たす‥‥て』


「デー‥‥‥て!まさか!」


僕はデーブルの横にいるノウスを見ると、

無表情のノウスの右目から一雫の涙が頬を伝うのが、僕から見えた。


「‥‥‥ノウス‥‥君なのか?」


『たす‥‥‥けて‥‥デーブル‥‥を』


「ノウス‥‥‥‥、デーブルに何が?」


「私を無視した報いはうけてもらう!ノウス!空気砲を奴らに連続して食らわせろ!」


デーブルの指示でノウスが空気砲の構えに入る。

僕とアルベルは、ブレイク王とミリア姫を守るためにマーとチィーユに指示を出す構えに入った時、


ノウスの動きが先程とは違い‥‥‥


「‥‥‥い‥い‥‥‥や‥‥‥い‥‥‥や」と拒み始めた。


僕達の前にデーブルとノウスが‥‥‥

そしてデーブルはまたノウスに指示をだす。


「あいつらに空気砲をお見舞いしろ!」と。


「‥‥い‥‥や‥い‥‥や‥‥いや‥‥」


拒むノウスにデーブルは


「何している!早くしろ!」


憤るデーブルにノウスはまだ拒みます。


「‥‥い‥や‥‥いや‥」と。


それはまるでノウスに強制的‥‥いや‥‥デーブルの動きも何かが変に気づいた僕は、


「アルベル、ノウスは‥‥うん、見ても分かる通り何か強制的て感じなんだけど‥‥デーブルは何か変じゃないかな?」


「変?デーブルがか?」


そうなんですよ。デーブルの言動と行動が何か微妙に合わないて言うか、違和感があるんですよ。それはまるで‥‥‥まるで‥何かに操られてるか‥‥‥。


「操られている?あのデーブルが、ですか?」


チィーユが首を傾げて言います。


で、僕が何故?て聞くと、


「デーブルはノウスと契約した事でスキル【ブラック テンション】が使えるようになりましたから」


「それには私も同意だ」


アルベルも横で頷きます。


【ブラック テンション】とはその場にいる人を操るスキル。いくら他の人を操るスキルを持っていても、この【ブラック テンション】を持っている人のがスキル的に優位だと。


「だからデーブルを操る事は無い。だったら何かに取り憑かれているって事ですか?」


僕が言うとアルベルは急に顔色を変えて


「光、今なんて言った?」


「えっ?何かに取り憑かれて、て」


アルベルは少し考えて‥‥‥


「まさかあ!あいつ‥‥チィーユ!」


「ええ!考えられるわ!」


あの〜う、いったい何が如何なって?て、ミリア姫?


僕の左腕にいつの間にかしっかりと抱きついてますよ。


で、ですね


「先程からアルベルと話してばかり。私の事を‥その‥‥///守ってくれますか?」


「えっ?ええ、当然ですよ。この僕が必ず命に代えても‥‥‥あっ!」


その‥ですね、僕は言うセリフを間違えたあ、と。ここは“必ずお守りします”て言っとけばいいのに“命に代えても”て言ったもんだからミリア姫の目が‥‥目が‥♡♡♡♡ですよおおおおおお。


「あ‥あ‥あ‥のう、ミリア姫?」


「♡♡♡♡光様♡♡♡、ミ、リ、アですわ」


「えっ?あっ!うん‥‥ミ、ミリア」


「ハイ♡♡♡♡あ♡な♡た♡♡」


僕はですねえ、デーブルの【ブラック テンション】にかかる前に動けなくなりました。

恥ずかしくて動けなくなりましたああああああああああです。

て、言うかミリアさん“あなた”はないですよおおおお〜〜。


「♡あ♡な♡た♡♡♡」


「ハイぃぃぃ!!」


てか、婚約はおろか手すら繋いでないんですよおお!僕はああああああ!


腕は既に組んでますけど‥‥‥。


あっ!ブレイク王は右手の親指立てて“グッ!”としてますよ“グッ!”と。



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