第15話 えっ、スキル?

「えっ?スキル?」


チーが僕に聞いてきた。なんでもこのスキルは『妖精の加護』みたいな物らしいんだけど、スキルが全員に備わるものではないらしい。1000人いたら2、3人にスキルが備われば良い方だとチーは言う。

そりゃあそうでしょう。妖精が珍しくないこの世界でホイホイとスキルが備わったらそれこそ大変だよ。


「で、そのスキルの有無はどうやって調べるんだい」


「うん、僕が光のおでこに手をこう‥‥‥」


するとチーが首を傾げる。


「どうかしたの?チー」


「ねえ、光。もう一度確認するけど、体に変化はないんだよね」


疑うように聞いて来るチーに僕は


「うん、ない」と。


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


「チー?」


チーは腕を組んで暫く考えて答えた。


「光にスキルが‥‥‥うん、出ている。しかも2つも」


「スキルが2つ?」


「うん、えっと一つは‥‥‥コピー、でもう一つは‥‥うん?りぺあ?僕も初めて見るスキルだ」

コピー、言わずと知れた、物をコピーするスキル。ただし生き物はコピーできないそうだ。問題はリペアだ。リペアは物を直すとか復元とかの意味があったような。


で、僕はリペアの意味をチーに言うと「う〜ん」と悩んでいたチーは僕に


「光‥‥‥リペアは生き物には使わない方が良いかも。何が起きるかわからないから」


と真剣な(チーの真剣な顔て普段の顔と見分けつかないんですけど)顔でチーが言うので僕はわかったと頷いた。


けど‥‥‥なんだろう?あのチーの知らないスキル【リペア】て?


リペアは確かに物を直す、とか復元、て意味だったから‥‥‥、うん、朝になったらあれで試して見るか。

で、試しにチーでコピーの方を使ったんですよね。元はチーはイタチのぬいぐるみに付いた妖精だから、中身の妖精のチーはコピーできなくても外のぬいぐるみはできるはず。

「じゃあ、やってみようかな」

と僕はチーの頭に手を乗せると


「コピー!」と叫ぶと


チーの横で小さな光が輝くとポンと音と共にチーそっくりのぬいぐるみがポトッと落ちてきた。


「おっ!本当にチーそっくりのぬいぐるみだ!」とそれを拾うとまじまじと見つめます。で、どうも本人、チーがいる前だど無造作に扱ってしまうんですよね。逆さに持ったり股を広げたり。

そんなことをしてるとチー自身、僕を軽蔑?の眼差しで


「僕にうらみでもある?」


「いやないよ。けど、こういうのってこう扱いたくならない?」


「ならないよ!!!!」


チー自身が雑に扱われてるような感じで言ってきました。けどね、再度言いますけど、やっばりしたくなるもんなんですよ。このように。


「だからやめて!!!!」


まあ、コピーのスキルはわかったからいいか。チーには後でちゃんと謝っておこう。

けど‥チーが自分のコピーしたぬいぐるみをかばいギュと抱きついている姿をみるとね、男の僕が見ても可愛いと思いますよ。だからこんなとこ可愛い物好きのイレイに見られたら‥‥‥。


と、そこに見られたくない人に‥‥‥イレイに見られましたよ。


チーがコピーしたぬいぐるみを抱いている姿を見てモーダッシュでチーの前に来てすかさずチーとぬいぐるみを取ると


「可愛い、可愛い、可愛い、可愛い‥‥」

の連発でチーとぬいぐるみを抱きかかえます


「い、イレイ‥‥‥ぐ、ぐるじぃぃ」


もう、ここまでくるとイレイは離さないんですよね


「び、びかり‥‥‥だ、だすげでぇ」


「チー‥‥‥哀れ」と手を合わせましたよ。


「ところでイレイ、何しにここへ?」


「あっ!そうだったわ。光が心配できたんだったわ」


いや、僕の心配よりその抱きかかえているチーの心配の方をした方が。チー完璧にギブですね。


「そうなんだ。ありがとうイレイ」


「光、体の方は本当に大丈夫?」


「うん」


「心配かけさせてゴメン。所でメイルは?」


「伯爵達の相手をしているわ」


「そうなんだ。後でメイルにも謝っておかないと」


「そうね」


僕はイレイに言うとその場を立ち上がりイレイと会場内に戻っていった。

けどね、イレイ、その抱きかかえている一匹?とぬいぐるみは離したほうがいいよ。

チーはギブってますので‥‥‥。

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