第10話 ゲイルの鼻をへし折ってやる
「光様、私と結婚して下さい」
メイルのそのセリフに僕は一瞬なに?てな顔になると
「あ、あの〜う、今なんていいましたか?」
「結婚して下さいと申し上げたのですが」
メイルがまた「結婚」と言葉を言うとイレイが
「‥‥‥メイル‥‥‥本気なの‥‥‥」
何か焦るような感じでイレイがメイルに問うとメイルは
「本気ですわよ」と。
『結婚』、僕の人生五十年(元いた世界で)でそのような言葉は一度もでてこなかった。けど‥‥‥異世界に来て『結婚』て言葉を聞くとは、しかも僕に対しての。
僕がブツブツとまた独り言を言っているのでイレイが
「光も‥‥‥メイルとのことを‥‥‥」
と何か歯切れのない言葉でイレイが言うと、
「えっ?あっ!イレイ?‥‥け、結婚。メイルとの。あの、あの、えっと、‥‥‥‥‥‥あの、す、すみません!ぼ、僕はまだ結婚のこと、考えられないんです!」
言葉があやふやで何を言っているか僕ですらわからないが、
「つまり‥‥‥私との結婚はしないと」
メイルが少し気落ちしたような感じで聞いてきたので、
「えっ、じゃなく、今は結婚はしないと言うか、僕はまだ結婚について‥‥‥」
「ついて?」とメイル。
「えっと‥‥‥いつかは誰かと‥‥‥」
と僕はイレイをチラリと見るとイレイもそれに気づき「えっ?」て顔をした。
「そうなんですのね。光様はまだ結婚は‥‥‥」
「はい、結婚はまだ誰ともしません」
そうだよ。僕はまだこの異世界に来て日が浅い。この異世界のことよくは知らないんだ。そんな僕がいきなり結婚なんかしたら相手が可哀想だよ。
「光‥‥‥」イレイが何か言いたそうにしていたがそれは今は心の奥にしまった。
「では、今は誰とも結婚はしないと」
「はい!」
「では、いつかは誰かと」
「はい!」
「それは私かもですか?」
「はい!て、えっ?」
「‥‥‥わかりましたわ。今は結婚は保留という事で」
「はあ〜っ」と安堵のため息をしますよ。
「けど私は貴方を光様と必ず結婚してみせますわよ。だって、このような男性は私は見た事はないですから。いえ、もう現れないかも」
あの‥僕のことかなり美化してませんか?僕はただたんに当たり前の事をしているだけなんだし、それに僕は臆病なんですが。
「私は必ず光様と結婚して、必ず第一夫人の座を射止めますわよ」
「そこまで‥‥‥うん?第一夫人?」
「光様?」
「あの‥‥‥第一夫人て?」
「えっ?まさか光様は一人の女性としか結婚出来ないとでも」
「えっ?じゃないの?」
「光様、私のお父様(アレムの王)は4人の妻がいますことよ」
「よ、4人の妻!」
「そうですわよ」
驚いた!この異世界はもしかして一夫多妻制なのか?いやその逆もありなのか?
つまり「結婚=好きな人と」ではなく、「結婚=第一夫人」てこと。好き嫌い関係なく。
まあ、今のメイルの結婚に対しては違うと思うけど。
「ところでイレイは何しにアレムまで来たのですか?」
メイルが聞いてきて僕とイレイはハアッ!と思い出した。
「ひ、光!」
「う、うん。まだ間に合うと思う」
慌てる2人にメイルが、
「何かあったんですの?」
と言うのでイレイが何故アレムまで来たかメイルに話したらメイルが、
「またですのね、ゲイルお兄様!しかも、しかも私の大切な友達のイレイにまで!‥‥‥わかりましたわ。この件はお父様に話してなかった事にしてもらいますわ」
怒り心頭のメイル。
まあ、わからないでもないです。友達があのゲイルの標的にされたのだから。けど、このままメイルに頼って事を終える事は‥‥‥。
『まだ間に合うなら、ゲイルの鼻をへし折る事も可能ではないか』
僕はインカムで、
「アイ!聞こえる、アイ!」
「ハイ、ヒカリ、ナンデショウカ」
「今からアレムの首都の城まで、夕刻に間に合うか?」
「ハイ、イマカラデスト5フンマエニハツキマス」
「五分前か‥‥‥他に道はないか?」
「ケンサクヲシテミマス‥‥‥ウラミチヲツカエバ30フンマエニハツキマス」
「30分前か‥‥‥それで行こう。間に合わさせてゲイルの鼻をへし折るてやる」
「イレイ、行こう!」
「ハイ、光」
「メイル姫、もしよければ力を貸して欲しい」
「光様、私の事はメイルと呼んで下さい」
「えっ!あっ、はい。ではメイル、頼めますか?」
「はい、光様の頼みなら喜んで」
そして僕達は目的のアレムの首都の城を目指した。
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