第5話 リョウカイ ヒカリ
僕はダッシュボードから出した物をチーにわたすと
「チー、それに魔法で‥‥」
「光。なんですかこれは?」
「えっ?あ、これはUSBだよ」
「ゆーえすび?」
「ええっと‥‥‥この中のデーターを‥‥」
「でーたー?」
「と、とりあえず魔法でチーが持っているこの辺りの地理のデー‥‥‥じゃなくて記憶をこのUSBに入れる事が出来るかい?」
「この中に地理の記憶を‥‥‥ですか?」
「そう。‥‥‥できる?」
まじまじとUSBを見るチーに僕は期待した顔をしていると、
「う〜ん、わからないです」
「わからない?」
「はい、動かない物に魔法で動く様にすることはしたことはあるんですけど‥‥‥記憶だけだとした事がないんですよ」
「‥‥‥そうなんだ‥‥‥じゃ、じゃあダメなのかな」
僕は期待した顔が少し暗くなったが、
「面白そうなのでやってみますね」
「えっ?」
チーは持っていた5センチ程のUSBを自分の頭にチョンとつけると何か呪文らしき事を唱え始めた。
しかしチーが5センチ程のUSBを持つとUSBがデカく見えるな。
呪文を唱え終えるとチーの頭から豆粒程の光の塊が出て来たらUSBに吸い込まれる様にスーと消えた。
「チー‥‥‥?」
「光、とりあえずはやってみたけど‥‥‥」
チーが僕にUSBを渡すと
「ありがとう、チー」
と受け取るとUSBを運転席横のナビモニターの下にある差込口にUSBを差し込んだ。
暫くするとモニターにダウンロードバーが出て来てアイが
「ダウンロードカイシシマス」
まずはここまでは‥‥‥問題は‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥「ダウンロードシュウリョ」
アイの言葉に
「アイ、現在地を表示」
「データーヲショウゴウチュ、データーヲショウゴウチュ」
モニターにはまだなにも出ない‥‥‥‥‥‥だ、駄目か?
「データーヲショウゴウチュ、データーヲショウゴウチュ。データーショウゴウシュウリョ‥‥‥モニターニゲンザイチヲウツシマス」
そのアイの言葉を聞いて
「や、やった!」
手で小さくガッツポーズを取るとシートにもたれた。
そしてモニターには待ちに待った現在地と現在地を表す点滅表示が出た。
アレク王とイレイは初めて見るモニターに映された地図を見て、
「光!なんなんだねこれは?」
「ええ、見たこともないですわね。地図の様に見えますけど」
2人はシートとシートの間から身を乗り出してモニターを見ようとするので一旦2人を座席に座る様に促すと、
「アイ、後ろのモニターを出して」
「リョウカイ」
すると天井から10インチのモニターが現れると2人は驚き、モニター画面が表示されると更に驚いた。
けどチーまで驚かなくても、て、まだこれは見てないか。
「光!光!なんだい、これは?」
驚いて言葉が出ない2人に対して好奇心旺盛のチーが聞くので、
「この辺りの地図です。そして小さく点滅しているのが今の僕達が居る場所です」
10インチのモニターを驚きながら見る2人と一匹?イレイに抱きかかえながらチーは
「凄い!凄い!」の連発。
「本当に‥‥‥凄いですわね」
驚くイレイは
「凄い!‥‥く、苦しい」
と抱いていたチーをギュと知らずに抱いていた為チー、ギブ。
「それにしても、いったいどんな魔法を使ったんだね」
アレク王が聞くので
「それは先程チーにこのUSBにこの辺りの地図のデータじゃなく、記憶を入れたんですよ。それをアイが‥‥なんて言えば‥‥あっ!その記憶を地図に変えたんです。」
「けど光、この点滅しているのは?」
「現在地のことですか?地図があればおおよそどの辺りに居るかアイが計算して表してくれるんですよ」
本来はGPSを使うんだけど‥‥‥ここは異世界、人工衛星なんかあるわけない。
けどアイの計算して出した現在地もGPSとの誤差は皆無なんだよな。
「とにかくこれで今よりも速く走る事ができますよ」
その僕の言葉にアレク王は
「なんと!まだこの車は速く走る事が出来るのか?」
「ええ、道さえ良くなれば馬車のおよそ5倍ぐらい速く走る事ができますよ」
目を丸くして驚くアレク王とイレイ、そして一匹?のチー。
「ご、5倍!!?、け、見当がつかない速さだ」
「本当に光、この車と言う乗り物には驚かせる物ばかりですね」
イレイが言うとイレイに抱きかかえながらチーもうんうんと頷いている。
「さあ、先を急ぎましょう、アイ、ナビを」
「リョウカイ、ヒカリ」
そして走り出した4WD車。
はたして間に合うのか。
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