私でも勇者になれますか?

たけぎつね

序章

プロローグ

部屋のほとんどが白で構成された明るい部屋。ライトが目に直接当たる。

先ほどまで少女は緑が広がる大きな公園で遊んでいた。だが、気がつくとと閉じ込められていた。手足と首を固定されていて、なかなか暴れられない。逃げなければ逃げなければ逃げなければ逃げなければ逃げなければ──。そう思って力のある限りじたばたさせて暴れる。


──と、

「起きたのか…ちっ。もういい。これからの痛みはお前が起きたせいだからな?」

という低い男性の声がかかる。どういう意味か、まだ幼い少女にはよく分からなかった。

どういうこと、と聞こうと思って口を動かすが、口が何かに塞がれてて思うように声が出ない。

「無駄だ。お前、じっとしてないと死ぬぞ?──再開する」


直後、今まで体験したことのない激痛が走った。


その男性の目を見たとき少女は悟った。

もう逃げられないのだと。自分にはどうすることも出来ないのだと。

もう、無駄な抵抗はやめよう、と瞳を閉じる。

そうして諦めたとき、痛みはあまり感じなくなった。


耳障りな機械の音が心地のいい音楽に。

白衣と大きなマスクで身を隠した人達が天使のように。

時々走る痛みはマッサージのように。

少女の感覚は絶望のあまり麻痺していった。




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