仔猫と狼と三匹の子豚
小さないえに、いっぴきのおおかみが住んでいました。
おなかをすかせていて、えさをさがしにきています。
よろよろと歩いていると、いっぴきの子ねこが倒れていました。
ねこはだいこうぶつです。
でも、きばが子ねこにふれたとき、あたまのなかがまっしろになりました。
そして、おおかみは子ねこを拾いあげました。
「おまえもおれも、おなかをすかしたなかまだ」
おおかみは子ねこをいえにつれてかえりました。
子ねこはすっかりおおかみになつきました。
「おとうさん、おなかすいた」
「まってろ、さかなをとってきてやる」
おおかみはすっかり、子ねこのおとうさんになっていました。
そして子ねこは、となりにすむ三びきの子ぶたにいじめられていました。
「また、やられたのか」
子ねこはきずをおっていました。
「こんなの、ぜんぜんへいきだよ」
おおかみは子ぶたがすむとなりのいえに、むかいました。
「おまえたち、こんどあいつをいじめたら、くってやるからな」
三びきの子ぶたは、すっかりおびえてしまい、もういじめないことをちかいました。
つぎの日、いえのとびらをたたくおとがしました。
おおかみはげんかんのとびらをあけると、三びきの子ぶたがたっていました。
手にはこんぼうやクワなどのぶきをもっています。
「ばしょをかえよう」
そういっておおかみは、はしりました。いえからなるべく遠くへと。
なかなかかえってこないおおかみを心配して、子ねこはさがしにでかけました。
そして、空き地についたとき、ボロボロのおおかみと三びきの子ぶたが横たわっているのをみつけました。
子ねこはおおかみにかけよります。
「おとうさん、おとうさん」
おおかみはいいました。
「おれがいなくなっても、ひとりで生きていけるな?」
子ねこはくびをよこにふりました。
「心配するな、ずっとみてるからな」
「おねがいだから、いなくならないでよ」
おおかみはなにもいいませんでした。
「おねがい、おねがいだから」
子ねこはおおかみのからだをゆすります。
おおかみはもう、うごきません。
子ねこは泣きました。くらくなるまで泣きました。
泣きつかれた子ねこは、叫びました。
「ぼくもつれていってよ、ひとりじゃさみしいよ、おねがいだから!」
空からおおかみの声がしました。
「おまえはまだ、こっちにはこれない。つよくいきるんだ。いったろ?ずっとみてるって」
子ねこは頷きました。
子ねこはおおかみの亡骸をうめて、そこにお墓をつくりました。
「つよくいきるんだ」
子ねこのひとみには、さみしさと、ちからづよさがうつりこんでいました。
そして、子ねこはときどきおおかみの声をききながら、おおかみのようにつよく生きるのでした。
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