リア充な奴ら。
秘密基地を見つけて4日目。
俺は毎日昼休みは音楽室でナナといる。
正確には俺が勝手にいるだけだけど。
今日の昼休みの終りぎわ、
「明日は弾かないので来ないでください。」
と、いつものツンケンな態度で言われた俺。
もうちょっと可愛く言えないものか(笑)
心底思うが憎めないいじらしさ。
俺は入江ナナの冷たい態度にも屈しない男、金井ジン。
「ジンお前昼休みどこいたの?最近よく消えんね。」
同じクラスの篠田が声をかけてくる。
こいつは最近3組のユリちゃんと付き合いだしたリア充1。
「秘密基地。」
「ジンー。最近全然昼休みつるまないじゃん。ミカ寂しい。」
同じクラスのギャル系なミカ。読者モデルで最近人気上昇中。
ツイッターフォロワー数が3万を超えたらしいリア充2。
「おう。ごめんなー。俺も最近忙しくって。」
「ミカ、ジンの秘密基地しってる?」
篠田が言う。
「えー何それ!初耳ぃー」
「サヤー、ジンの秘密基地知ってる?」
ミカがサヤに聞く。
「何それ、小学生以来だよ。秘密基地って。きゃはは。」
サヤは、ナイスバディなサバサバ系女子。
最近バイト先の大学生に言い寄られているリア充そ3。
「お前らなぁ、秘密基地は秘密だから秘密基地なんだよ!」
俺は人気者、いつも輪の中心。
いつも人が集まってくる。
いつも友達に囲まれている。
学校では割とアイドル的存在で、そこそこ有名人で人気者な俺。
彼女はいないけど、学校生活は充実している。金井ジン、リア充4。
友達は沢山いた方が楽しい。
今が楽しければいい。バカやって、先生に怒られても、楽しい時間ならそれでいい。
みんな大事な仲間。
そんな俺。
そんな一見華やかで賑やかな俺は、
静かな時間をこよなく愛する男でもある。
だから入江ナナとの昼休みは俺にとって最高の秘密基地だ。
絶対に侵略されてはならない、バレてはならない。
俺の秘密基地。
チャイムがなる。
HRの時間。
「始めるぞー。席付けー。」
ジャージ姿の担任、三浦ソウマが入ってくる。三浦の印象は一言で言うと、
さわやかな32歳の体操のお兄さん。
担当は英語、囲碁将棋部顧問。
俺にはジャージを着る意味が見つからない。
毎日ネクタイを結ぶのがめんどくさいだけに違いない(笑)
新婚なんだから結んでやれよ!奥さん。
と面識のない三浦の奥さんへのメッセージを秘める。
三浦は今年春(3月)に結婚したリア充その5。
俺の周りはリア充で溢れている。
「今日はー文化祭について決めるぞー。まず実行委員だが、やりたいやついるかー?」
クラスがざわつく。
いるわけないだろ…。
3年の進路で忙しい時期にこんなめんどくさい大役を自分から引き受けるヤツはちょっと変態な気がする…稚拙な俺の感想。
「ジンやれよ。」
斜め前の席。
小声でニヤニヤと篠田が、言う。
「やだよ。」
俺は声を出さずに口パクで返す。
三浦に気づかれたら大変だ。
「たーのしーぞー。文化の祭りの実行委員なんて名誉だぞー。」
三浦も適当なこと言っている。
そのPRは絶対に逆効果だ。
全く手があがらない空気。
消極的なクラスメイトにしびれをきたし始めた三浦。
「お前らー最期の文化祭、コイツ実行委員なら絶対楽しい!コイツにならついて行く!!と思うやつ推薦しろー。」
「ジンだな!」
おい、黙れ!
「ジンだ。」
おい。おい!
「ジンで。」
おいおいおい!!
「ジンしかいなくね?」
おいおいおい!おいーーー!!
こうやってみんな面白半分で推薦。
勘弁してくれ。
「よし金井頼んだぞ!」
「は!?」
仮にも名誉あるものをそんな雑に決めるなッッ!!
「不満か?じゃあ金井でいいと思うヤツ手ェーあげろー。」
クラスのほぼ全員が、手を挙げている。
これ学級委員決める時と同じ流れじゃねーか!
「三浦っち。俺学級委員だし、部長だし。忙しいんですけど!!」
「金井、よく考えてみろ。」
「?」
「みぃぃぃぃぃぃいいんな、忙しい。」
アイツは「い」の中に39人分の「い」を詰め込んだに違いないと察した。
…三浦め。…リア充たちめ!
みんな忙しいわけじゃない。
みんな煩わしいだけだ!
お前らのこれからのリア充高校生活は
俺を犠牲にして成り立っていることを肝に命じて欲しい!
多数決での選任方法は、名前の上がってしまった不本意な当事者からして見ると理不尽で残酷な選任方法である。by金井ジン。
「金井、前出て出し物決めてこれに記入して提出な。」
…。
「まとまらなかったらお前だけ居残りになるけど…俺今日結婚式の打ち合わせだから俺のためにもこの時間でまとめ上げてくれよな!」
正直。心底。
…どうでもいい!
このリア充5が一番厄介者。
一番腹立たし位存在。
高校生の俺に殺意すら芽生えさた。
リア充爆ぜろ!!と心底思った瞬間だ。
体操のお兄さん32歳は7月に式を挙げるらしい。
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