第3歩目!「ようこそ!オタクパークへ!」
オタク同好会のへの仮入部を決めた拓海と遥。
通常授業も始まり、いよいよ本格的な大学生活の始まりの1日。
昼休み、彼らは食堂で昼食を共にしていた。
学食名物100円カレーだ。
「ところで、拓海君。アニメ見た事ってあるの?」
出会ってまだ一週間も経たない彼らだが、遥曰く、拓海は不思議な包容力があるそうで、人見知りの彼女でも親しみやすいそうだ。
「んー、あんまり無いな。小学生の頃は見てたんだけど、父親が亡くなって以来、漫画とかアニメとか一切見せてもらえなくなったんだ。母親が教育の一環とかなんとかで。」
「そうなんだ...その、今は大丈夫なの?」
不味いことを聞いたなという表情の遥だったが、拓海はまったく気にしていなかった、というより頭の中は「遥、可愛いな」で1杯だった。
「まぁ、今はある程度自立してるからね、問題ないと思う。何か初心者でも見やすいものってあるかな?」
いつの間にかテーブルの上にはカレーがひとつ増えていた。
「フムフム、話は聞かせてもらったよ!キラッ☆」
「わっ!どこから出てきたんですか光国さん。」
「みっちゃんって呼びなよぉ。まぁ状況は分かったよ!拓海っちにはまずはスポ根をおすすめしようかな!ね、遥っち」
「そうですね!拓海君はスポーツしてたみたいだからとっつきやすそうですね。」
"スポ根アニメ"とは青春系スポーツアニメの事で、サッカーや野球といったメジャースポーツはもちろん、最近ではマイナースポーツを題材にした物も増えている。
「だけど、どこで見ようかな。自宅で見るのは少し抵抗が...」
拓海は過程状況を顧みたが、到底アニメを見れる環境ではないと二の足を踏んだ。
「そーれなら問題ないネ!ウチの部室を使えばいい。ほかの部員紹介もしたいから、今日授業終わったらおいで!」
「わかりました。じゃあ放課後よろしくお願いします!」
拓海の隣には楽しそうに遥が微笑んでいた。
「へへっ。拓海君が気に入ってくれたら嬉しいな。」
「なっ、そんな。ほら、行くよ!」
(なんだ今のめちゃくちゃ可愛いじゃないか。天使ですか。)
すっかり頬を赤らめる拓海を横目に光国は「青春最高ッ!キラッ☆」と叫んでいたが、気がつくと二人は食堂からは姿を消していた。
ー
「ねぇ、裕美。今日新しい子来るんだよね?可愛いの?可愛いの!?」
「凛子黙れ。まぁあの馬鹿が見込んだ子たちだろう?心配は無いはずだ。」
「ところで、アイツは?」
「あれはどうせ家でFPSじゃないか。」
「あっ、来たきた♪」
一ノ瀬大学別館、B-6号室。明らかに寂れた教室だが、中はオタクの宝庫、それぞれ部員のスペースがあり壁にはぎっしりとポスターが貼りこまれている。
「2人ともっ!おっつかれぇい!キラッ☆」
扉を開けた光国にペンが飛んで向かってくる、素早い身のこなしで交わした彼だが、後ろにいた拓海が犠牲になった。
「いてて...あ、はじめまして。山城拓海って言います。」
「は、はじめまして...木津遥です。」
二人は少しぎこちなく、頭を45度ほど下げた。
ペンを放り投げた主の女性は慌てて佇まいを直し、先ほど非礼を詫びると共に、自らの紹介を行った。
「いやぁ。申し訳ない。私の名前は
裕美はクールビューティタイプの美人だ。髪はショートカット、キリッとした目に一風変わった語り口調、副長を務めるそうだ。
「か、かっわいいぃ♡子猫ちゃん、私の事はお姉ちゃんって呼んでね!」
「きゃぁ!」
「黙れ。お前はまともな自己紹介もできないのか。すまない、二人とも。こいつは
初対面早々、遥に飛びついた凛子はしっかり裕美に蹴り飛ばされた。
凛子はピンクの髪をツインテールでまとめている。一部の学生間から「スイカ」とよばれている巨乳の持ち主である。会計だそう。
そそくさとを部員である3人は整列し、一礼した。
「さぁ!自己紹介も済んだところで、改めて拓海っち、遥っち。ようこそオタク同好会へ!!」
「分からないことがあったらなんでも聞いてくれ。」
「よろしくね!特に遥ちゃん...ふふふ♡」
一癖も二癖もある部員達を尻目に拓海は心の中でツッコミをいれていた。
(いや、まだ俺仮入部だけど。。)
どうやらこのオタク同好会というサークルには少なからずの問題があるようだ。
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