いまなにをにおもう

jin

第1話 4時8分

昼間の春の嵐がウソのように、

今は静まりかえっている。

ポタポタと聞こえる雨樋からながれる時の雫が、夜明け前の静寂を物悲しく語る。


忙しさに流され物を書けなくなっている。

と、いうのはきっと言い訳で

正直語るほどの出来事がないのだ。


人と関わらず物語は流れてこない。

歴史物でも政治物でも、現代ファンタジーも、異世界物でも

誰かに聞いてもらいたい事は

人と人との事なのだから…。


彼女と会えなくなってから半年が過ぎた。

それでも必至に連絡を取り続け、

仕事に立ち向かい、

プライベートも充実させようと努力し続けた。

でも彼女の手の温もりがない生活には気力をとり戻せない。


次第に現実から目を背け

携帯ゲームにはまりこむ。

こいつはなかなかの厄介ものだ。

テレビゲームと違って終わりがない。

一つクリアすればまた更新される。

これで終わり!がないのだ。


そうしてまた人と関わらずに一日が過ぎる。

休みの日などヘタすると、誰とも会話しない。


それが続くと人と関わるのが億劫になる。


だんだん人と何を話していいのかわからなくなる。


終いには話しても相手がつまらないんじゃないか?なんて悩んでしまう。

そしてまた人を遠ざけるのだ。


なのに今

私はとても虚しいのだ。


雨の雫

夜の静寂

時折走る車の水しぶき


あなたはいまなにをおもう。


わたしはおもう。


ただあなたにあいたい。








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