武器購入

彼が、異名持ちを仲間にしようと言ってから数日がたった。

「よーし、金も貯まったことだし、武器買いに行くか」

この文を見るだけで分かるだろうけど、彼はまだ武器を持っていない。

………まあ、私も持っていないけど………

「そうですね」

そして、クレアがそう返していた。

クレアは、最初こそ恥ずかしがり屋で、なかなか普通に話して来なかったけど、最近は、話せるようになってきている。

「あ、そうだ。女神様。女神様は、武器とかいらないのか?」

「いらないかな?だって、ほら私魔法使いなわけだし」

私もこうして、彼に砕けた感じで話せるようになっていた。

………なんというか、時の流れって凄い。

「そうか。でも、防御できるものは、持っていた方がいいぞ」

「確かに………わかった。じゃあ、防具ぐらいは買うかもしれない」

「そうか。ってことで、今から準備してこい!!」

「はは、なにを準備するって言うのですか?準備するもなにも、もう皆準備できているではありませんか」

「そうだけどさ………このセリフ言ってみたかったんだ」

「「ふふ」」

と、私とクレアの微笑が重なる。

「……ふふ、貴方にも、そういうところがあったのですね。意外です」

「………そうか……」

そして、私たちは、武器屋に向かうのであった。

武器屋に入ると、恰幅のいい男性に、とても元気のいい「へい!いらっしゃい!!」と歓迎された。

「で、なにを探しにきたんだい?剣かそれとも防具か?」

「俺は、剣を買いにきた。だから、教えてくれないかな、この店オススメの剣がどれか」

「ああ、いいぜ。で、お嬢ちゃんたちの方は、なにか欲しいものでもあるのか?」

「…………私も………剣が欲しいです……」

私の頭には?になった。

………クレアが、何故剣が欲しいの?だって、ほら、クレアって、魔法士でしょ、それなのに、剣って………あとから聞いてみよう。

「お嬢ちゃんも、剣か。で、もう1人のお嬢ちゃんは?」

「え、ああ、防具を買いに」

「そうか。防御な。分かった」

それから、店主に少し準備があるから外で待っていてくれと言われいて、私たちは、店の外に出るのだった。

私は、店を出るなりすぐに聞いた。

「クレアも剣が欲しかったんですか?」

クレアは、少し頬を赤くして

「…………うん………」

「ははーん、そういうことか」

と彼がそう言った。

「なにが、そういうことなの?」

「女神様、分からないのか?」

彼が、挑発するようにそう聞いきた。

………むう、なんかムカつくな。

私は、どういうことなのか考えたが、結局分からないず

「………分からない……で、どういうことなの?」

「どういうことかって、簡単なことさ。自分も剣が欲しかったっていう」

「そんなことなの?」

「そんなことなの。そうだろ、クレア?」

クレアは、なにも返事をしなかったけど、顔が赤くなっているところを見るに、そうだったみたい。

入っていいぞ!と言われたから、店の中に入ってみると、剣や防具、その他にもいろいろな物が机に広げられていた。

「この中から、選んでくれ。まあ、いいやつばっかだかな!!」

そして、っふはは!と笑った。

「じゃあ、俺から選ばせてもらうな」

そういうと彼は、とてもはしゃぎながら、物色し始めた。

そして、クレア、私と続き、武器購入が終わった。

「で、なんで君は、剣を2本も持っているのかな?それに、なんで剣に名前なんてあるの?」

そうなのである。

あろうことか、彼は、長剣を2本も買っていたのだ。しかも、その2本の剣それぞれに、名前をつけていたのである。

「ん?ああ、俺、実は、二刀流なんだ。それに、剣に名前をつけるのは、当たりまえだろ。だって、これから、俺の相棒になるんだからさ」

彼は、とても誇らしげにそう言った。

「確かに、自分がこれからお世話になる物だから、名前をつけるのは一理あるかも………でも、君が二刀流なわけないでしょ?だって、剣を2本同時に使うことって相当難しいんだよね?」

「ああ、難しいかもな。でも、できないわけじゃないし、それに、女神様は、まだ俺の本当の力を見たことないのだから、わからないんじゃないか?」

「そうだけど…………でも」

「まあ、いいさ。いつか、しっかりと、俺がこの【雷剣レイン】と【氷剣レイズ】を使っているところを見せてやるからさ」

「わかった」

私は、そう言ったけど、内心では、そんな未来はないと思ってしまっていた。この時の私は。

「よし、武器も買ったことだし、クエスト受けに行かないか?」

「そうですね………実は私もさっきから、人生始めて買ったこの剣を早く使ってみたいですし………ねえ、くーちゃん」

ちゃっかり、クレアも買った剣に名前をつけていたのであった。

………っていうかくーちゃんって可愛すぎじゃない。

私も、買った防具に名前をつけようとしたけれど、なかなかいい名前が出てこなかったから、諦めることにした。

そして、私達は、ギルドへ戻るのだった。




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