ユミール・クレア
そして、場所は移って、ギルド。
「おおー、これぞ、異世界って感じだな」
と、彼は感嘆の声を洩らした。
…………そういえば、この人地味にこの世界を楽しんでいる気がする……
だから、私は聞いてみた。
「ねえ、君、なんか楽しんでいないですか?」
「ん?ああ、それりゃ楽しいに決まってんだろ。だって、異世界だぞ」
あれ?なんか可笑しい気がするんだけど………あの異世界行かないよと言っていた人とは到底一緒に見えないんだけど…………
「ねえ、なんでさっきは、あんな嫌そうだったのですか?」
「ん?ああ、唯異世界に行くのが面倒くさかっただけだからな」
私は、衝撃の事実を知るのだった。
………なによ、それ、異世界に行くのが面倒くさかった?面倒くさいもなにも私が送るだけなのだから面倒くさいわけがないはずなんだったけどなー。
「じゃ、パーティー募集の紙でも張りにいきますか」
「そうですね」
*
─────パーティー組みませんか?────
・誰でも歓迎。
・役職は問いません
・定員は、3名様まで
・是非私たちのパーティーに参加してください!!
─────────────────────
「ま、こんなところでいいだろ」
「そうですね」
私は、そう言いながらなにかを見落としている気がした。
………なんだろう?………まあ、いいか。いずれ思い出すだとうし。
パーティー募集の紙を貼ってから、数分後。
ギルドにある木をきり、それを唯四角に伐っただけの机に座っている私達の前に1人の少女がきた。
「あ、あのー」
その少女は、どこかおどおどしく、見るからに 、私達を怖がっているように見えた。
だから、私は、安心させようと優しい声で
「もしかして、私達のパーティーに入ってくださるのですか?」
と聞いた。
そうすると、少女は、目に掛かっている綺麗な黒髪を手で払い、そして、私の目を見て
「はい、そうです」
少女の目の色は、サファイアの色と同じくらいに綺麗な碧眼だった。
だから、私は思わず
「綺麗…………」
と呟いてしまった。
少女は、綺麗と言われることになれていないのか、少し頬を赤くしていて、見るからに照れていた。
「はは、今の顔とても可愛いな」
と、彼がなんの恥じらいもなくそう言い、少女はより一層顔を真っ赤にした。
「で、俺達のパーティーに入ってくれるの?」
彼がそう聞いた。
「…………………………はい………」
「そう。それはありがとう」
こうして私達のパーティーは3人となったのだった。
*
少女の名前は、ユミール・クレアというらしい。
「あのー、私は、魔法士なんですけど…………貴方たちの役職はなんなのですか?」
クレアは、とても小さな声で聞いてくる。
「俺達の役職か……………うん、知らない」
「え?それは、どういうことですか?」
「あー、えーと、聞いていいか?どうやったら自分の役職って分かるんだ?」
私も、そういえば、と思った。
っていうか、私に聞いてくれてもよかったと思うんですけど!!
「えーと、そこの受付でできます」
「そうか。教えてくれてありがとな」
そして、彼は、クレアの頭を撫でるのだった。
そして、頭を撫でられたクレアの顔は真っ赤になるのだった。
…………なんでしょうか。この、気持ちは………
「女神様行くぞ」
「はい、そうですね」
クレアは、女神様?と頭に?マークを浮かべいたが、私が女神なのは後から説明すればいいとして。
そして、受付。
受付の女性の人の胸はもの凄く大きかった。
それもびっくりするぐらい。
………け、決して私が貧乳とかそうわけじゃないですからね!!
私がそんなことを思っている間に彼は、役職が分かったみたいだった。
「俺の役職は、やっぱり、冒険者だったよ」
「そうですか」
そして、私も
「私もいいですか?」
「それは、勿論」
受付嬢は、にこやかに笑った。
「では、この魔法玉に手を5秒ほど当ててください」
「はい」
そして、私は言われた通りに手を当てた。
そうすると同時に、私の中にもの凄い量の魔力が流れこんでくるのが分かった。
そして、私は5秒たったから魔法玉から手を話すのだった。
「す、凄いですよ。貴方の役職は、この世界にい1人しかいないと言われている、魔法使いです。これなら、異名持ちになるのも時間の問題でしょう。あ!そうだ、よかったら、貴方にあったパーティーでも案内しましょうか?」
受付嬢は、興奮気味に言ってきた。
………ああ、もし私が、あの時彼に、1度に使える魔力量を制限されなければなーー。って、まずそんなことされなかったらこっち来ることもなかったか。
「大丈夫です。この彼とあちらにいる少女とあともう2人ぐらいでパーティーを組む予定なので」
「そうですか…………」
受付嬢は、あからさまに悲しそうな顔をした。
「ありがとうございました」
「で、女神様の役職はなんだったのさ?」
「魔法使いらしいです」
「へー、そっか。なんというか、この世界魔導師に魔法士、魔法使いとそういう系の役職多いな」
「そうですね」
「じゃ、クレアのところに戻るとするか」
「そうですね」
そして、クレアの元に私達は戻るのだった。
そして、クレアに私の役職を今言ったのだが………クレアが固まってしまった。
「ま、魔法使いですか……………」
「そう。私の役職は、魔法使いだよ。でも、そんなに凄いの?受付のお姉さんは、私が3人目とか、それにすぐに異名持ちなれるとかなんとか言っていた気がするけど…………でも、それって唯人数が少ないだけではないの?」
「そ、そんなことあるわけがないですよ!!だって、もう1人の魔法使いは………………【破壊の魔女】メディア・セルシアさんなんですから!!」
クレアは、必死にそう言ってくれたけど………
「ねえ、君、【破壊の魔女】メディア・セルシアさんって人知ってる?」
「知るわけないだろ。俺、この世界があることすら知らなかったわけだし、それに、女神様は、ここの観察してたんじゃないの?それぐらい凄い人なら、一度ぐらいは見たことくらいあるんじゃないのか?」
「えーと、ですね。それが、私は、観察をしていましたけど、そのー、役職とかそういうのは特に覚えていませんから…………つまり、私は、早く魔王を倒してくれないかなーと思いつつ見ていただけなので」
「そうか。じゃあ、知らないのも仕方がないか。よし!いい機会だし、その【破壊の魔女】メディア・セルシアさんについて教えてくれないか?」
「いいですけど…………でも、本当に知らないんですか?あれだけ凄い人なのに………?」
クレアの声に半分不安が、そしてもう半分は、呆れがあった。
「ああ」
「分かりました」
そして、クレアは、話し出すのだった。
*
「えーと、まず異名持ちのお方たち全員を知っていますか?」
「知らないな」
「知らないです」
「そうですよね。じゃあ、まずそこから話していきたいと思います。まず、先程言った、【破壊の魔女】メディア・セルシア。彼女の美貌は、それはとても美しいものです。銀髪の綺麗な髪を持ち、そして目がとても綺麗なグリーンの色をしています。種族としては、エルフとなるのでしょう。それで、彼女の役職が凄いのです。魔法使いというこの世に2人しかいないとても珍しい役職であり、最強職ともギルドが認定しています。何故、魔法使いになるのが、難しいのか。これを説明していくとなると、まだまだ時間がかかると思いますけど、いいですか?」
私と彼は、頷いた。
「わかりました。まず、魔法量によって、魔法士、魔導師、魔法使いとなって行きます。魔法士は、正直誰でもなることができます。それは、元々微小ながらも魔力を持っているから。
(じゃあ、魔力を全く持っていない。俺みたいな人間は、魔法士にすらなれないと………)
ですが、魔導師以上は、誰でもとはいかないのです。魔力量が、相当なければなれない。あ、そういえば、何故貴方は、魔導書を持っているのに、魔導師ではなく冒険者だったのですか?」
「ん?ああ、この俺が持っているのは…………まあ、本当でもあり偽物でもあるからかな?」
「とても妙な言い回しを使いますね………今はそのことについて聞かないでおきます。今聞いたらこのまま話しが逸れて言ってしまいそうですから。で、どこまで話しましたっけ?」
「魔導師以上は、誰でもなれるわけではないってところ」
「わかりました。それでも、魔導師になれる人は、まあ、存在します。魔法士になれる確率よりかは、85%程落ちるでしょうが。でも、魔法使いとなると違うのです。魔法使いになる条件は、ギルドがこう提示しています。魔力量が、1000000を越えていることと」
私には、その数字がどれだけのものなのかはわからなかったけど、でも、とても大きな数字だなーと思った。
「100000と言ってもあまりピンときていないみたいですね。では、参考までに、魔導師になれる基準が魔力量が、500000ってところでしょうか」
2倍!?それは確かに凄い………
「だから、魔法使いになるのは難しいのです。
………だから、貴女は、凄いんですよ?」
クレアの少し頬を膨らませながらそう言ってきた。
「でも、なれるだけなら、奇跡的にもあるかもしれない、そう思うのが当然でしょう。だから、当然、メディア・セルシアも言われたのですの、偶然なれただけだと。メディア・セルシアは、それがとても悔しかったみたいで、彼女はこう大衆に向かっていたのです。
───今から来る魔物の大軍を私1人で倒してみせる
と。それの挑戦は無謀のように思えました。何故なら、いくらなんでも数が多すぎたから。
でも、彼女は、1人で倒してみせたのです、魔物の大軍を、そして、その時に使った魔法が、破壊魔法だったから、今彼女は、破壊の魔女と言われているのです」
「へー、なんか、凄いな、その破壊の魔女さんは。で、他の異名持ちは?」
「え、えーと、そのー………………」
クレアは、さっきまではきはきと話していたのに、いきなり口ごもった。
「私、お金を持っていません。…………だから、そのー、ご飯を奢ってもらうことはできませんでしょうか?」
クレアは、遠慮がちそう言った。
「ああ、お腹が減ったね。それに、あんなに話したから、喉も渇いただろ?」
「…………はい」
「じゃあ、なにか、頼むか…………と言いたいところだったけど、あいにく俺達もお金持っていないんだよね?」
「え!?そうなんですか?」
クレアは、私にそう聞いてきた。
「うん、本当に持っていないんだ。お金、それで、なにか、いいクエスト的なのってないかな?」
「ほ、本当だったですね…………いいクエストですか?それは、勿論私は沢山知っていますよ。ですけど、今のステータスでは行けるクエストはないと思うのですけど?」
「そうか…………んー、でも、雑魚なら今の俺でも倒せる気がするな」
彼は、そういう。
「何故…………そう思うのですか?」
「何故って、そりゃあ俺体術とかその他いろいろと学んでいたからね」
と言った。
体術とかいろいろって、なんというか、この人が何者なのか私には分からなくなる。
クレアはというと、体術という意味が分かっていない様子であった。
だから、私は
「体術って言うのはね、身体を使って、いろいろな技をすることなのですよ」
と簡単な補足をするのだった。
「それは………凄いです…………」
「ってわけだからさ、なにかいいクエスト教えてくれない?」
「……はい、えーと、ペディング10頭討伐オススメのクエストです」
「そうか。じゃあ、そのペなんちゃらを10頭倒しに行くとするか」
そう彼は言うのだった。
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