私の過去

「へー、ここが異世界か。うーん、あんまり日本と変わらないな」

(俺としては、それこそ目の前には、凄くデカイ樹があるとか。そういうの期待したんだけどな)

「そうですね。この異世界、アクアは、日本を元に私が作りましたから」

そう。アクアは、私が造ったのです。

日本の風景がとても美しくて好きだったから。

「へー、そう。女神様が造ったのか。でも、あっちの方は、整備されてない感じだけど?」

そう言いながら彼は、森がある方を指差した。

「ああ、それはですね…………私の力では、この主街区を造ることが限界でして………あ、でも勘違いしないでくださいよ。主街区は、全部で20個程存在していますし、この〈アクア〉という世界の総面積は、それは相当広いので、決して私の力がないとかそうわけじゃないですから!」

私は、もの凄く早口でそう言うのだった。

「因みに、主街区の外は、どうなっているんだ?」

「主街区の外は、魔物がいるますね」

「そう。じゃあ、魔王とかもいるわけ?」

「はい、そうですね。でも、なんで魔王がいるなんて知っているんですか?私は、そんなこと一言も言っていない気がするんですけど?」

他の死者たちなら知っていてもおかしくはない。何故なら、それは、私が死者をこのアクアへ送り出す時に、魔王を倒してくださいねと言うから……でも、なにも言ってないのに知っているんだろう……

「なんで、知っているか?それは、簡単なことさ。だって、こういう世界には、魔王っていて当然だろ」

「はは、そういうことですか……」

「そういうこと。…………でも、なんで、女神様がこの世界を造ったんだよな?なら、なんで女神様は、魔王なんていう存在を造ったんだ?」

「私は………魔王を造っていません。私は、平和な世界を造りだしたかった。でも、ある日、魔王という存在ができ、市民たちを恐怖に落とす。それが、私たち女神が、世界を1つ造ったときに必ず起こることらしいんです」

私は、そんなことを知らなかった。

私は、唯平和な世界を造りたかっただけだったのに。

「そっか。女神様の意思に反して、魔王という存在はできてしまった。そういうわけか」

彼は、そういうと少しだけ笑った。

「あ、そういえば、君の名前はなんていうですか?」

「俺の名前…………は、言わない。というか、知ってるじゃないか?だって、死者をこの世界へ導くことが女神様の仕事なんだろ。なら、その死者の名前くらい覚えているもんじゃないのか?」

「それが、覚えてないんです」

「そう。あ、そういえば、俺ってここでどういう扱いになっているわけ?」

「えーと、君は………私の魔導書を持っているから、街の人から見たら、完全に魔導師とかになるんでしょうけど、冒険者っていうのが君の役職なんじゃないでしょうか?」

「そう」

彼は、そういうと、いきなり魔法を唱え始めた。

「我は、この地に、栄光を、そして、豊かさを 【ヒーリング】!!」

私は、目を見開くのだった。

今彼が、唱えた魔法は、私の魔導書の最後に書いてあって、私が一番最初に覚えた魔法だった。

その魔法は、魔力消費がない。だから、特に強い魔法でもなく、むしろそんな魔法はいらないと言われてもいいぐらいの魔法だった。

「はは、この魔法は、とてもいいな。気分がよくなる」

彼は、そう言った。

「そういえば、女神様どうやって、女神になったんだ?この魔導書を見る限り、相当使い込まれているように見えるんだが?」

「私が、どうやって、女神になったのかですか?」

「ああ」

私は、彼の目を見る。

彼を目は、とても真剣な眼差しで、彼の出で立ちもさっきまで異世界なんて行かないと言っていた人とは同一人物とは思えない程だった。

………この人なら、言ってもいいかな。

「私が、女神にどうやってなったか…………話せば長くなりますよ?」

「構わない」

「わかりました。じゃあ、話しますよ。時は遡ること50年前」

そして、私は、ぽつぽつと自分の昔話を語り始めるのだった。


私は、君と同じように、人間でした。

普通の家庭に生まれて、元気に育ちました。

そして、ある日のことです。私は、先代の女神様とあったのです。

信じることなどできないでしょうが。

そして、先代の女神様は私にこう言ってきたのです。

──貴女は、女神様になりたいかね?

と。

まだ幼かった私は

──うん、なりたい!!

と言いました。

その言葉を聞くと女神様は、少し笑い、そして

──女神様になることができれば、1つの世界を造ることができる。それも自分が理想とする世界を。

と。私は、世界を自分の世界を造ることができる。それが、私にとっては、とても魅力的だった。

だから

──ねえ、早く私を女神様にしてよ!!

と言いました。

──早く貴女を女神様にしたいのは山々だけど、今は私が女神様だから、それは無理なの。だから、もう少しだけまってね。

それからも私は、自分の過去を語った。

「私が、女神になったのは、20歳ぐらいの時でした。はい、これでおしまいです。どうでしたか?」

「女神様が、まさか人間のころがあっただなんて凄く驚いたよ」

「ふふ、そうですか」

「ああ、それに、女神様が、女神になったのも以外と最近だったてことも驚いたし……それに、もうすぐ60歳になるなんて………もう今の姿は詐欺だな」

「あ!それは、言ってはいけませんよ!!それに、今の私は20歳設定ですし!!」

「ほら、自分で設定とか言ってるじゃん」

「っく……………と、ともかく私は、20歳なんです!!」

「はは、そうか」

私は、少しだけ気分がよくなった気がした。

「それは、そうと。ここってギルドみたいなところあるんだろ?」

「それは、勿論」

「じゃ、早くギルドに行こうぜ。それで、パーティーメンバーでも探そう」

彼は、とてもいい笑顔でそう言った。

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