砂上のグルク

あばら屋

第1話 既に死んだ世界にひとり

 私が目を覚ましたときには、何もかもが終わっていた。目の前ではまるで私を嗤うかのように砂塵が渦を巻き、消えていく。そして視界に現れたのは、おびただしい数の”知り合い”だった。しかし、そのどれももう二度と口をきくことはない。ある者は、頭部に赤い花を咲かせ、きける口も持っていない。

・・・ああ。またか。の時に使用した大量の重火器が視界に散乱している。

 私はゆっくりと立ち上がり、一番近くの戦闘車ビークルに向かって歩く。一歩一歩砂漠に足跡を刻む度に、自分の足が砂に吸い込まれてしまうような感覚に襲われる。突如として視界が揺らぐ。

「っ・・・!くそっ・・・!」

 目から流れる涙を止めることができない。視界が滲み、乾いた砂にシミを作る。また、生き残ってしまった。また、死なせてしまった。

 ふらついた足でなんとか戦闘車ビークルにたどり着く。濡れた目でエンジンをいじり、運転席に乗り込んで砂で汚れたレバーを引く。戦闘車は轟音を立てて車体を揺らす。なんとか動くようだ。私は無数の死者をおいて、一人墓場を後にする。ごめん、ごめんなさいと、ただ謝ることしかできないまま。



 

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