第9話

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


なぜだろう。視界がやけに広い。いや、広いなんてものじゃない、空から全てを見ているのだ。


揺れている。大地が、空が、山が、海が。


家が燃え上がっている。町に来るまでの草原もきっと燃えているだろう。


丘の上の師匠の家。ここだけは唯一無事なようだ。


「ヒャハハハハハハハ」


空に浮いている人が笑う。人?あれは人なのだろうか?尻尾や、羽があり、角がある。まるで悪魔だ。なぜ笑っている?


「そいつ死んだんじゃねぇのか〜〜?」


悪魔のような男が指を指して言う。


そいつ?誰のことだ?


その指の先に見えたのは…


血を出して倒れている結衣だった…。





「っっ!!」


ガバッと起き上がる。


「はぁはぁはぁはぁ」


日陰で寝ていたはずなのに汗がすごい。なんだ…今の、、。


隣で寝ている結衣を見るがなんともない、師匠と一緒に幸せそうに寝ている。


「変な夢だったな…」


「んん〜、ふぁ〜〜あ」


師匠が盛大なあくびとともに起き上がる


「よく眠れたか?」


「ん?いや、眠ってなどいないぞ!断じてない!そ、そんなことより魔力制御はできたのか?」


あわてて否定してくる。


おそらく弟子の修行をほったらかして眠ってた無責任なやつと思われたくないのだろう。


「だいぶ」


「そうかそうか、では次の修行にうつるか!と、その前に結衣を起こさんとな」


おい、起きろーと言って結衣を起こしている。




正直あの夢が気になって修行どころじゃない。やけにリアルな夢だった。


「気にしてもしょうがないか」


「なんか言ったか?」


口に出てたようだ。


「いやなんでもない」


「あ、祐一おはよ〜、師匠もおはようございます〜」


「おはようなんて時間じゃないぞ」


「さてとでは、魔力制御もできるようになったし次は魔法を教えるぞ!」


いよいよだ、さて、ここで俺にとてつもない魔法の才能があったりしたら嬉しいのだが。


「質問!」


結衣が勢いよく言う。


「なんじゃ?」


「転移とかってできるんですか?」


グサっ!


「もしできるなら呪文とか難しいですか?転移っっ!みたいな軽い言葉で出来たりします?」


グサグサっ!


確実にわざと言ってる。この世界に来て一番嫌な記憶を鮮明に思い出す。


あいつ!忘れろって言ったのに…!!


「うーむ、あるにはあるがあれは相当難しいぞ」


「祐一!あるってよ!よかったね!」


結衣がニヤニヤしながら言ってくる。とてもうざい。


「うるせぇよ!忘れろって言ったろ!?」


「なんじゃ、そんなに転移がしたいのか?」


「いや、今はもういいから普通の魔法を教えてくれ!」


さっさと転移から話をそらさないと間違いなく俺のHPがどんどん削られていく。


「では、まず自分の得意な属性を調べるぞ!」


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