第6話

「幼女とはなんじゃ!」


「いや、そのまんまだし…」


出て来たのは金髪碧眼の幼女だった。綺麗な金色の髪が膝のあたりまで伸びている。


身長は150いかないぐらいだろうか?年齢は15ぐらいか?ドレスのような感じの服を着ていてとても可愛らしい。


しかも語尾がじゃってそんな言葉使う奴時代劇ぐらいでしかみたことないぞ。


「えーっと、修行つけてくれる方であってますか??」


「修行??」


ケインさん言ってないのか…


「ケインさんから聞いてませんか??」


結衣が聞いてくれる。


「ケイン?……あー、あの脳筋か!」


脳筋て…たしかにゴツかったけど


「そういえばそんなこと言ってたなー、めんどくさいなー」


「そこをなんとかお願いします」


「お願いします!」


2人で頼み込む


「んー、そうじゃなー、じゃあテストに合格したら弟子にしてやろう」


「テストですか?」


「そうじゃ」


「何をすればいいんですか?」


無理難題を押し付けられそうで怖い、ドラゴンを退治してこいとか…


まだこの世界のことは無知に等しいのにテストというのがいきなり無理な気もするが。


グギュルルルル


誰かの腹が鳴る


「……お腹空いてるんですか?」


「うむ!実は3日前から何も食べてないのだ!」


3日か、よくそれでこんなに元気そうだなと思う。



恐らく結衣も同じことを思っているだろう、自分のお腹をさすっている。


「それでテストっていうのは?」


「もちろん私に料理を作ることじゃ!」


実に可愛いテストだった


「あ、それなら私に任せて!」


結衣が自信がありそうに言う。


そうえば長い付き合いだが結衣の料理は見たことがない。


「料理できるのか?」


「あんまり作ったことないけど大丈夫だと思う!いつもお母さんの作るところ見てたから!」


見てただけか…不安だ…


「では材料とかは家にあるから作るがよい!」


結衣が女だから期待してるのか幼女は結衣に任せるようだ。


「はい!じゃあキッチン借りますね!」


「うむ!楽しみに待つとしよう!」


いい機会だし俺は結衣の料理でも見学するか


「へー、野菜とかは全部日本と一緒なんだねー」


結衣がじゃがいもを手に取りながら言う


「それは良かったな、もしカエルとかのゲテモノ系があったら死んでいたところだ」


「今度は祐一にも作ってあげるからね〜!」


「なら豚汁を頼む!」


昔食べた結衣の母親の豚汁は絶品だったからとても期待が高まる。

「おっけー!ふんふんふんふふ〜ん」


鼻歌を歌いながら楽しげに用意している…が


「…何を作っている?」


「肉じゃがだよー!」


「肉じゃがになぜトマトやメロンが入っている!?」


「隠し味だよー」


終わった…修行つけてもらえないかもしれん…


ガクッと膝を床につき絶望する。

「できた!」


おそるおそる肉じゃが?を見てみる。


「…味見はしたか?」


「してないよ?一番最初に作った人が食べたらなんか悪い気がするし!」


そんなことないから今度から必ず味見してくれと心の底から思う。


「できましたよー!」


肉じゃが?を届けに行く。やはり子供のように椅子に座りながら足をジタバタさせていた。


「おお!なんだこれは?」


「肉じゃがです!」


「にくじゃが?」


肉じゃがのことは知らないようだ。


普通の肉じゃがを知らないだけにこの異様な食べ物をおかしいとは思わないのだろう。


「定番の家庭料理です!」


「ほうほう!では頂くとしよう!」


そう言ってそのもはや食べ物も呼ぶのも嫌になるものを口に運んでいく。


もぐもぐと食べているが…


「!?!?!?」


嗚咽を漏らしながらどこかに行ってしまった。


…吐き出したな


当然だろう、普通肉じゃがに入ってないものまで入れて、じゃがいもなどの野菜は皮もむいていなかったのだ。


「どうしたのかな??」


結衣は吐きに行ったとは思ってないようだ。


「やっぱり俺に豚汁を作るのは無しな?」


しっかりと言っておく。


「なんで??」


「やっぱり豚汁は食べたくなくなった」


「じゃあほかのが良かったら言ってね!」


「ああ」


それにしてもなぜあんなに料理の上手い親からこんな子供ができるのか謎だ…




10分ほどすると楽になったようで戻ってきた。


「不合格じゃ!!」


ですよねーー


「なんでですか!」


結衣は不満があるようだ。

「不味すぎる!あれは人の食べるものではないぞ!」


「ひどいっっ」


結衣は雷に打たれたようにガーンと落ち込んでいた。


「じゃあ俺にやらせてください」


ここで諦めるわけにもいかず頼み込む。


料理は得意ではないが材料は日本と同じようだし簡単なのなら出来るだろう。


「まあいいだろう、せめて胃に入るものを作るのだぞ?」


「まぁ期待しないで待っといてください」


これで不合格だと修行が受けられないため気合を入れる。

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