第3話

1時間ほど歩き続けると町が見えてきた。


「祐一!みて!町だよ!」


「やっとついたな」


入るのになにか必要なのかと思ったがすんなりと入れた


「おお〜…」


結衣が声をもらす。


無理もない、異世界なだけあり日本とは全く違う街並みなのだ。


中世ヨーロッパの世界や、ファンタジーの世界に来たみたいだ。


しかしエルフやドワーフなどの異世界っぽい生き物はいない、人間のみだ。


「さて、ここからどうするか…」


「私が教えてあげよう!」


どうやら案がいいあるようだ。


「いや、いい」


「なんでよ!」


「さっきからかわれたばかりで信じられるか!」


「今度はまじめに言うって!」


「ほんとか?」


「うん!」


そんな笑顔見せられるともうなにも言えん。


「じゃあどうするんだ?」


「まずはギルドに行くべきだと思うよ!」


「ギルドってあれか?モンスター討伐の依頼とかうけると

こか?」


「そうそう!で、よくあるパターンだとそこでチンピラに絡まれるんだよ!」


「そんなのはやだ…」


「とにかくギルドを探そう!」


ギルドを探すことになり聞き込みをするとあっさりと見つかった。


近くには噴水があり日本ではあまり見ない光景だ


「ここか…けっこう小さいな」


ギルドの大きさは幼稚園や、保育園ぐらいの大きさだった。


「じゃあはいろうか!」



結衣が先陣をきってギルドに入る。


中はいかにもと言う感じだった、クエストボードみたいなものがあり、受付のお姉さんは美人、冒険者らしき人々は酒を飲んでいる。


服装はマントだったり鎧だったり薄そうな服だったり様々だ。


とりあえず受付に行ってみる。


「すみません」


「はい、本日はどのようなご用件でしょうか?」


緑色の髪をした眼鏡をかけてるお姉さんが対応してくれた。


「この町に来たばかりで何もわからないので聞きたいのですが」


「かしこまりました、ここは王都から一番離れてる町でフールといいます。ここが冒険者ギルドというのはご存知ですか?」


「「はい」」


結衣と2人で言う。



「ここではモンスターの討伐の依頼や、薬草などの採取の依頼など様々な依頼が受けれます、その依頼を受けてお金を得て皆さん生活しているわけです」


「冒険者になるにはどうすれば良いんですか?」


結衣が質問をする。


「冒険者になるにはこちらの用紙に必要事項を記入していただくだけで大丈夫ですよ」


「今手持ちがないんですけどお金とかって必要ですか?」


「銀貨1枚が必要ですが冒険者登録をしてから1週間以内に支払っていただければ大丈夫です」


なるほど、やはりお金は日本の通貨じゃないみたいだな。


「じゃあ祐一、登録する?」


「そうだな金がなきゃ何もできないしとりあえず稼がないとな」


「ではこちらの用紙の記入をお願いします」


そう言って受付のお姉さんが紙を渡してくる。


「これは…」


「日本語だね…」


結衣もこれには驚いたようでびっくりしている。


必要事項は名前、出身地、年齢、種族か、


名前と年齢、種族は書いても問題ないと思うが出身地はど

うなんだ?日本と書いていいのか?


「すいません、私たち出身地がちょっと遠くて日本と言うんですけど分かりますか?」


結衣も疑問に思ったらしく質問していた。


「にほん…ですか?聞いたことがないですね、だからお二

人の服は珍しいものなんでしょうか?」


服?あ、学生服か、この世界には学校はないのか?もしくは制服がないのか。


「日本って書いても大丈夫ですかね?」


「多分大丈夫だと思いますよ!」


いや多分て…まあ書いていいなら他は大丈夫だ


「じゃあ出来ました、これでお願いします」


そう言ってお姉さんに2人で紙を渡す


「確かに受け取りました、では魔力の測定をするのでこち

らの機械に手をかざしてください」


魔力ってことはやっぱり魔法があるのか…


「はい」


とりあえず俺からやってみる。


手をかざすと色が赤、青、緑、と変わり最終的に黄色になった


「はい、もう大丈夫ですよ、黄色ですね」


「黄色というのはどんな感じなんですか?」


「黄色は一般の方より少し魔力が多いですね」


なるほどどうやら俺はチート系キャラじゃなかったようだ。


「じゃあ次は私ね!」


結衣は黒になった。


「これは、すごいですね…黒とは…」


「祐一!なんだか私すごいらしいよ!」


「らしいな」


だがこれは面倒なことになりそうな気がしてならない。


「少々お待ちくださいね、マスターを呼んでくるので!」


ほら見ろギルドのマスターがでてくるなんてよほどのことだ。


「どうしたのかな?」


「結衣の魔力がすごかったから面倒なことになりそうなんだよ」


「そう?めんどくなんてなんないと思うよ?たかが魔力がすごかったぐらいだよ?」


こいつはまったく状況が飲み込めてないようだ。


「お待たせしました、部屋に案内するのでついて来ていただいてもよろしいですか?」


少しするとお姉さんが戻ってきたので言葉に従う。


「こちらです」


ドアを開けてくれる


「失礼します」


「失礼しまーす!」


「マスターお連れしました」


この人がギルドマスターか、筋肉がすごい男の人だ、年齢は50ぐらいか?茶色いひげ…かっこいいな。


「おう!すまんな!わざわざきてもらって!」


「いえ」


「聞くところによるとお前さんたち魔力が高いんだって?種族は人間だよな?」


「いえ、魔力が高いのはこっちです、種族は人間であってますよ」


そういって結衣の方を見る。


「なるほど、魔法はどのくらい使える?何属性だ?」

何属性もあるのか、まあ火とか水とかいろいろあるもんな


「いえ、魔法は使ったことがありませんし、使い方もわかりません」


「そっちのお嬢さんもか?」


「はい」


「やはりか…お前たちどうやってモンスター討伐する気だったんだ?その体で剣でもつかうのか?」


…そう言えばそうだ、全く考えてなかった結衣も考えてなかっただろうと思い見てみると。


「いや、私は魔法を使いますよ!」


考えてた、いや、考えてないだろ!使えないじゃんか!


「ほう、そっちのお嬢さんは魔法が使えるのか?」


「使えません!」


「がっはっはっはっ」


愉快そうにマスターが笑う。


「だがお前さん達威勢はいいがそのままモンスターなど倒

しに行ったら間違いなく死ぬぞ?」


「ですよね…」


結衣もわかってるようで反論はしない


「そんなに大量の魔力を持ったお嬢さんを魔力制御もできないまま町に放っておくこともできんしな」


「じゃあどうすればいいですかね?」


「儂が鍛えてやろう!」


「はい?」


鍛えてもらう?この人に?


「マスター、特定の冒険者に肩入れするのは…」


今まで黙っていた受付のお姉さんも口を挟んでくる。


「む、それもそうだな、では知り合いにお前さんたちを鍛えてもらうように頼んでおこう!」


「それはありがたいですけどどうしてそこまで?」


「さっきも言ったろ?そんなに高い魔力を魔力制御もできないままうろつかせると魔力が暴走した時に危ないからな」


なるほど、そういうことか、結衣の魔力が暴走とかしたら危なそうだもんな


とにかく力を貸してくれるなら借りるべきだ。



「そういうことならよろしくお願いします」


「よし、じゃあ知り合いには話をつけておくから明日の昼にここに行ってこい」


そう言ってマスターは地図をくれた。


「ありがとうございます」


「これからよろしくな!最後になったが儂はギルドマスターのケインだこっちの受付担当がマリアだ」


マリアさんがお辞儀をする。


「はい俺は祐一です」


「私は結衣です!」


「祐一に結衣か、珍しい名前だな!今日の宿はとってあるのか?」


「いえ、実はお金がなくて」


「そうか、それなら今夜はギルドに泊まっていけ!うちは2階で宿もやっているからな、1階は冒険者がちとうるさいが我慢してくれ」


「いいんですか?ありがとうございます!」


「おう!じゃあマリアに部屋に案内してもらえ」


「祐一さん、結衣さん、こちらにどうぞ」


「はい、失礼しました」


「失礼しました!」


そう言って部屋をでて今日泊まる部屋に案内してもらう。


ベッドに、トイレ、シャワーもあり思ったよりも豪華だ。


「こちらの2部屋になります、食事は7時に下に来ていただければお出ししますよ」


「ありがとうございます」


結衣とは隣同士の部屋になった。


「話すこともあるし俺の部屋で話すか」


「うん、そうだね!」


異世界にきて戸惑ったがここまではいい感じだな…

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