第2話

歩くこと数時間…


「ゆういちぃぃ〜まだ着かないの〜?」


「いやしらねぇよ、お前の方が詳しそうじゃん」


ひたすら草原を歩いているが全く人の気配すらない、モンスターとかとも全く遭遇しない


「あ!」


結衣が突然声をあげる。


「どうした?」


「私たち異世界転移したんだよね!」


「まあ多分そうなんじゃないか?」


「じゃあじゃあ、チートみたいな能力の1個や、2個や、100個ぐらいあってもいいと思うの!」


「いや100は多すぎだろ!」


「そんなことないよ!」


「まあいいや、それで?」


「瞬間移動とか、転移とかの魔法使えるんじゃない!?」


「そんな都合よくは使えないだろ」


「やってみなきゃわからないよ!って事で祐一やってみてよ!」


「いや、どうやってだよ」


いきなり無茶振りすぎる


「さあ?…転移!とか叫べばできるんじゃない?」


「んなバカな…」


こいつこんなにアホだったっけと思ってしまう。


「まあまあ、出来たらご褒美にキスしてあげちゃうぞ♡」


「………」


「なんか言ってよぅぅ!!祐一のバカァァ!」


結衣が涙目で殴りかかってくる


「いや、ごめんごめんって、やる!やるから!」


「ほんと…?」


「まあ確かに試して見ないとわからないしな」


「それでこそ祐一!さっすがぁ〜!」


さっきまでの涙はどこにいったのか


「こいつっ…!」


俺が昔から結衣の涙に弱いのを知っていてそこを攻めて来やがった!


「男に二言はないからね!」


「わかったよ…やるよ、やればいいんだろ」


なにが起こるかわからないので結衣と少し距離を取る


「よし、やるぞ」


「ゴクリ…」


結衣がわざわざそんな声を出してムードをだす


「いくぞっ、転移っっっ!」


拳を突き上げたからかに声を出す。


しかし…


「結衣なにも起きないぞ?」


と結衣の方に目をやると。


「あはははははははっ」


腹を抱えて笑っていた。


「……………おい」


「だってだって、転移っっっ!って!、あはははっっ」


「お前がやれっていったんじゃねぇかよ!」


ようやく笑いがおさまってきたらしい結衣が


「でも、拳突き上げて転移っっっ!はないでしょ!どんな

漫画でももっとちゃんとした呪文とかとなえてるもん!」


俺の顔はおそらく過去最高レベルに赤くなっているだろう。


「ひでぇよ…あんまりだ…」


「ごめんごめんっ!もういじらないからほらまた歩こ?」


「はぁ、」


いつまでも落ち込んでいてもしょうがないので歩くことにする今は街に行くことが最優先だ、このままでは野宿になるしな。


「それじゃあまたしゅっぱーっつ!」


結衣の掛け声とともに再び歩き出す…

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