第54話・暴力という名の秩序
長谷寺の宝箱を持った状態で硬直している男は、冷や汗を流していた。何故こんな場所で、こんな恐ろしい物を持たされているのかと。そして、手の上の木箱を決して落とさないようにシッカリと握り締めていた。男は確かに街の規範を知らなかった、だが、この木箱を
いま
その頃、ちょうど車のドアが閉まる音が響いた。六人と一匹、姿は見えないが[BillyBlack]の幹部連も勢揃いだ。黒腕と高山は、こんな怖い思いをさせている人間たちなど、根絶やしにしてやろうと殺気に満ちている。自分たちの縄張りに踏み込み、好き勝手なことをやり散らかした彼等を、どう殺してくれようかと考えを巡らせている九埜とセラフィーノ。一刻も早くこの場を去りたい吉川と、面倒事は御免だと言わんばかりの表情を浮かべている幸嶋、指先からほんの少しずつ魔物化していく長谷寺。彼等の場慣れしている様子に、今さら不気味さを感じている男たち。廃ビルに踏み入る前から、彼等は
「飛鳥ちゃん、吉川くんと一政くん守ってくれる?」
「了解です」
言い終わるか否かという瞬間に、黒腕の手に押さえ込まれる形で吉川と幸嶋がしゃがみ、高山は天井に張り付き、九埜は身体を反らして長谷寺の放った攻撃を
数階上で待っている男たちは、いま何が起こったのかなど知る由もない。仲間たちが目的の人物を銃で脅しながら、自分たちがいる場所まで進んで来ていると思い込んだままだ。あの攻撃の時、九埜とセラフィーノは、長谷寺が魔物の姿に戻っていることを視認した。誰が魔物で誰が魔物でないかを確認し、この
階段に配置されている男たちを、まるで蚊でも潰すように
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