第30話・タイミング
ふと、迅の目線が長谷寺の着ているシャツに行った。溜息を吐きながら苦笑した彼は、鼻血が染み込んだ
「また汚れちまったな…」
「─…あ、ホントだー」
「寝る前に洗濯機に入れとけ」
「はぁいっ」
迅の言う通り、自分のシャツが血で汚れているのを確認した長谷寺は、[服と身体についた血は清潔にする]と教えられた事を思い出してシャツを脱ぎ始めた。迅は自身の下心が
「どしたの?」
この
「…いいか?下履いててタンクトップ姿になるだけなら場所はドコでも特に困らねぇけどな、
「どして?」
「…………俺が困る…」
最後の答えが余りにも自分勝手なものだと思った迅だったが、非常に素直な気持ちを口にしてしまった割りに、長谷寺は人差し指を桜色の唇に押し当てて少し考える
「わかったーっ!」
(なんで納得したんだ…)
元気よく返事をしながら片手を真っ直ぐ上に
「迅ちゃん困らせたくないから、覚えておくね?」
「─…あぁ、有難う」
「お風呂場で着替えて寝るねっ!おやすみ迅ちゃん」
「おう、オヤスミ」
長谷寺の顔を拭ったタオルを洗うついでに、風呂へ入っていた透が出てきたのだ。艶のある肌が、しっかりと付いている筋肉が、
「長谷寺さんっ!なんでココにっ…」
「あ、トールちゃーん。えっと、迅ちゃんが着替えは自分の部屋か、お風呂場でしなさいって言ってたから〜」
実に、タイミングが悪かった。
透がそれを痛感しながら、ようやくスウェットの首元部分から頭を出した長谷寺に[中で身体を拭くから]と伝えて、浴室のドアを閉める。特に気にすることなく着替えを再開する長谷寺の、なんと
.
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