無題。
ちしゃねこ
第1話
ああ、眠い。
目がトロンとしているのがわかる。鏡がないからわからないけれど、普段奥二重なまぶたも、おそらく二重になっているはずだ。ここ最近、公園のベンチで寝ているせいで満足に睡眠の取れない日が続いているからだということは、わかっていた。親への怯えと反発で家を出て2週間。ふざけて"鬼ごっこ"と称して楽しんではいるけれど、疲労は確実に溜まっていく。当たり前だ。10代は確かに若いが、そこまで若いわけではない。当然、疲れを感じないほど回復の早い身体や、無尽蔵の体力などあるはずもなく、確実に老化は始まっている。
「ああ。眠い」
ふわぁ、とあくびをもらす。まったくもって頭が働かない。気を抜けばすぐに崩折れてしまいそうになるほどの眠気が原因だろう。わずかな頭痛だけがかろうじて覚醒を促している。
はたして、と回らない頭で考える。はたして、眠るという行為は、生きるための行為なのだろうか、それとも、いずれ等しく訪れる死への予行練習なのだろうか、と。
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