ナギ
豆澤ハニー
第1話
_______はじめは、薄暗い部屋だった。窓もなければ光もなかった。だが、何故か自分の周りははっきりと見えている。窓がないため、今が昼か夜か、何時頃かなんて勿論分かるわけが無かった。 ふと、私は扉の方に目を向けた。扉が開く、あのミシシ、という音が扉の方から鳴ったからだ。
誰かが開けたのか、風で開いてしまったのか_________
そんな私の疑問に対する返答だって、勿論あるわけもなく。
扉の向こう側は、明るかった。あの明るさから考えてみると、多分電気がついていると予想出来た。
今は夜なのか?そんなことを考えながら、扉の向こうへ向かうべくゆっくりと腕で体を支えながら足に力を入れて、たちあがる。
ズキリ。
私は反射的に頭に手をあてた。
______痛い。
貧血によるものだろうか?ゆっくり立ち上がった筈だが。
そんな風に先刻の頭痛の要因について自己解釈した後、もう一度扉の向こうへ一歩踏み出した。
___ズキリ。
「___ッッ__」
流石に先刻の頭痛は我慢がきかなかった。
扉の向こうへの好奇心よりも、私には頭痛の我慢のほうが大きく、その場にへたりと座り込み、頭痛が治るのを待つことにした。
だが、頭痛は治まるどころか、悪化させるのに専念している。
時にはチクチクとささるような痛み、時にはずうんと何か重いものが一気にのしかかってくるような痛みが、休まず私の頭の中を駆け巡っていた。
どれくらいたっただろうか、私の頭も我慢がきかなくなったらしい。
私は扉の向こうの人影を見た後、意識が途切れた。
「君は私の傑作だよ」
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