鈴の音が聞こえたなら
カゲトモ
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まさかこんな場面に出くわすなんて誰が思っただろうか。いや、誰だって思うわけがないっ。というか急いで低木へ身を隠したものだから、突っ込んでしまった頭に絶対に葉っぱが付いているんだろうけど、変な動きも出来ないしとりあえずはこうやって黙って耳をそばだてていることしか出来ない。
例え頭に葉っぱを乗せていたとしてもだっ!
この体勢ならきっとあの位置からは見えないだろうし、黙っていれば気づかれることはないだろう!
っていうか別に隠れたりしなくても良かったんだろうけどね。とっさに身体が反応してしまったっていうか、ちょっと気まずかったっていうかなんていうか。
だって、ミケとイツキちゃんがデートしていたから・・・ってまだデートって決まった訳じゃないけどね!! 偶然出会ったってことも可能性としてはあり得なくないし! この辺には映画館も入った大きめのショッピングモールもあるし! すぐ傍の公園でちょっとお花見ってのもあり得なくないよね! んで、そこで偶然出会ったってことも!
てかなんで二人でいるのっ! いつの間にこんなことになっていた訳!
「ふ、ふぅぅ」
いやいやいや、落ち着け俺。何いい歳こいて友達のデート現場目撃してテンション上がってんだ。もう三十超えてんだろ、しっかりしろ! と思いつつもニヤニヤが治まらないっ。だって、先々週にイツキちゃんがバイトしている居酒屋に一緒に行ったけど、別にそう言う雰囲気じゃなかったじゃん。なのに急に二人でデートしていたらこっちだってニヤケちゃうじゃん!
『イツキちゃんって純情そうだし、オネェとかゲイとか分かっているのかしら』
先々週までそう言っていたのに、何この急展開。オネェのゲイが女の子とデート出来てる! あんなに心配そうにしていたのに、ちゃんと紳士的に振る舞えてる! 何この感情。ちょっと感動すらしてる。
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