まんまるびより

ひざのうらはやお/新津意次

日記帳1.3のコーナー

1月8日付 ミニスーファミしかやることのない成人済みの球体の生物からひとこと

 成人の日です。新成人のみなさんはここぞとばかりに酒を酌み交わし振り袖を振り回し組んず解れつの大騒ぎだと思われますがいかがお過ごしでしょうか。


 さて今日ぼくは何をしていたかというと、自宅に引きこもってゲームばかりしていました。世代的にニンテンドー64が全盛だったころにゲームをしていたので、ミニスーファミに収録されているリメイクでもないスーファミのゲームは、なかなかにコシがあって難しい。全然前に進めないんですよほんと。

 おそらく、ゲームというものが今よりもっとずっと単純だった時代で、消費者も生産者もとにかくゲームをクリアするということが消費だと考えられていた時代なんだろうなと思います。だから、ゲームのエンディングを見ることそのものが遊び尽くすことと同値であったわけで、そうなると必然的に、ある程度の達成感を得るために、最後までいくのにはそれなりの根性やスキルが必要になるわけで、そこが最近のものとは違っているんじゃないかなと思います。

 最近のゲームは、必要なところをダウンロードコンテンツやパッチなどで補うという仕組みになっており、最低限のシナリオクリア、すなわち普通のエンディングを見るだけだったらとても簡単で、ページをめくるようにシナリオを進められるようなものが多いのではないでしょうか。


 ゲームの話はどうでもよくて、自分の成人式の話をすると、新成人当時は浦安市民だったので、ディズニーランドをぶらぶらして帰ったのを覚えています。中学受験していると同級生が地元にいないのが困りどころで、式の前後はまだしも、終わってからは完全に暇で、何しに来たんだとか思いながら飯を食って、今は亡きスタージェットにのって「遠心力! 遠心力!」とかなんとかよくわからないことばをひとしきり叫んだ後、真顔で帰宅するっていう。ひとからは羨ましがられるけれども当事者としては地獄でしかない。


 もともと式典なんてそれがどんなものであろうとも行きたいと思ったことがないし、行きたいとか思うような人間とは一生分かりあえるような気がしないと常々思っているわけですが、そんな式典嫌いのぼくが最も嫌悪する、というか二度と行きたくないと思った式典が成人式なんです。それくらい嫌だし死ぬかと思ったしどうしようもなく意味がないと思ったしつまらなかった。ディズニーランドに呼ばれといてつまらなかったとぬかすわけですから当然それ以外の会場だったら会場にたどり着く前に鬱々とした気分に飲み込まれて存在自体が反物質と化して地球がブラックホールになっていたんじゃないかと思います。そう考えると浦安市民でよかった、危うく地球が滅びるところだった。いやよくない、地球滅びて欲しいわ、わりとマジで。

 まあつまりですねこのクソ駄文の結論としてはですよ、ディズニーランドの成人式でも楽しめなかった人間がいるとかそういうんじゃなくて、別にもったいないとかそういうことは考えずに、行くのが楽しいかどうかで決めた方がいいじゃんなあ、そこで選択した方もしなかった方も同時に経験することは不可能なわけだし、しなかった方に対して異常なまでに糾弾する正当性なんて誰にもどこにもないわけですよ、もちろん公僕のみなさんにも。

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