第50話 『元祖』 その15

『地球の眺めはいかがですかな?』


 宇宙空間に浮かび上がる、大きな地球をぼんやりとながめていた僕の背後からそう、声が聞こえてきたのです。

 

 振り向くと、ふたりの人物が立っておりました。


 ひとりは、間違いなく『地主さん』です。


 もうひとりは、いったい誰なのでしょうか?

  

『あなたは、神様、地主さまですね。』


『ご名答❗91階の主どの。うんじゃーまいやらあ。なんのことやらあ。』


 しかし、そう、答えたのは、もう一人の、とある有名チェーンストアの、リッチなオーナーおじさんのように、白いスーツに蝶ネクタイのメタボ紳士だったのです。


 明らかに、どこか、親しみやすい優しさと、怪しい雰囲気を共有しています。


 『貴方に、選択の機会を与えようと、ふと、おもいついたのですな。こうした気まぐれは、めったにない。こちらの地主さん以来だ。』


『さっぱり分かりませんが。』


『もちろん、そうでしょうなあ。なに、そんなに複雑でもない。まず、我々が地球付近に到達したさい、貴方がた人類は滅亡に瀕していた。

助ける方策が、まったく無いこともないが、我々には、あなた方に介入するべきかどうかの判断は、かなりやりにくかった。本来我々は、内政不干渉を貫いてきたからね。』


 かれは、地球を見やりました。


 『しかし、見た前、この星の美しさを。』

  

 地球を見つめながら、おじさんは続けて言います。


 『あなたの考えは分からないが、地球の人類は、どうも、この奇跡的な幸福を、良く理解していないようだ。宇宙のどこを探したって、これは奇跡的ですな。我々は、人類を排除して、この美しい星の保全を図るべきか、放置して、汚れるに任せるのか、議論もしたがね、まあ、よい結論に至らなかった。そこで、地球人類に、まだこの稀有な星の、先の未來を託してよいか、それとも新しい担い手を残してゆくか、はたまた放置するか、ゲームで決めることとした。』


『ゲーム?なんだそりゃ?』


 ぼくは、呆れたように、少し叫ぶように答えたのでした。


『彼らにとってのゲームは、真剣勝負なのだよ。』


 地主さんが、そこで、やっと口を開いたのです。


『ぼくも、君と同じように、思ったんたんだがねえ・・・・・・最初はね。』




 ・・・・・・・・🌐・・・・・・・

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