第266話 【撃破!】李儒(理樹)と内気な姫殿下(7)

 返せば彼は「……⁉」となる。


 そう、李儒理樹は、ある事に気が付き、自身の口を開くのだ。


「あれ? 二人は?」とね。


「ああ、あなた。二人ならば、ほら! あそこ!」


 李儒理樹の問いかけに対して弁姫殿下は口を開き、指を指すのだ。


 李儒理樹の背、後方の先で、自身の顔の半分を破壊され、崩れかかりながら唸り声を漏らす、埴輪の巨人兵を、自身の美しい碧眼の瞳で捉え、見詰めながら女神さまは指を指すものだから。


 李儒理樹の頭、顔、身体は、自然と弁姫殿下の指さす方、方向へと反転──。


 するとだ?


〈ドォーン!〉だ。


〈ガァーン!〉だ。


 また大変に大きな打撃音が李儒理樹の両耳へと聞こえてきたのだ。


 だから彼は、慌てて反転。


 大変に大きな打撃音がした方向──埴輪の巨人兵が横たわる方向へと視線を変えると。


 彼の、李儒理樹の瞳には、黒煙、砂埃、黄砂が舞い、立ち込め、昇り。


 敵の、埴輪の巨人兵の顔の様子が見えない、確認出来ない様子、状態が瞳に映るだけだから。


「……敵は。埴輪の巨人兵は、どうなったの?」と。


 自然と李儒理樹の困惑した声音の台詞が、漏れてくるだけだったのだ。



 ◇◇◇

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