第207話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(17)

 だから李儒(理樹)は、己の持つ左腕──。女神さまの括れた腰に回している二の腕に魔力を注入──。


『ヒョイ!』と、女神さまの華奢な肢体には、大変に不釣り合いな傲慢なオッパイの二つついた身体を左の二の腕で持ち上げながら回避──。


 回避運動をしながら。


〈ドン! ドン!〉


〈ガン! ガン!〉


〈ドン!〉


 白銀のマスケット拳銃の銃口から銃砲を大きく、リズムよく発泡! 発射──!


 次から次へと、埴輪の巨人兵の大きな身体へと魔法の弾丸を撃ち込んでいく──!


(うぅ、うう。やはり力が、力が足りない……。おチビな巨人兵を倒す。撃破する力、攻撃力が僕と女神さまだけでは足りない。足りないよ……。だからこのままでは……)と。


 李儒(理樹)が攻撃、回避運動をしながら。続けながら思えばね。

(何とか、何とか……。救援、増援部隊がくるまでは、わらわも何とか気力、覇気をあげて、敵の攻撃を防御、弾いてみせなければ、御方。主さまのために……)と。


 女神さまも、己の脳裏で個々奮闘してみせると、新たに決意。誓う。誓えば二人はね?


「「(もっと、もっと。力が、攻撃力が、破壊力が欲しい)」」


「「(だから、自分達二人以外のメンバー。パーティーメンバー。仲間。ツレ達。自分達二人とこの新しい世界でもっと、ファンタジー的な冒険をしてくれる協力者。仲間達が欲しい──!)」」と、二人……。


 李儒(理樹)と女神さまは、二人仲良く。脳裏で呟く……。


 いや、叫ぶ! 叫ぶのだ! 


「僕達に──!」


「わらわ達に──!」


「「仲間をぉ、おおおっ!」」


「「協力者をぉ、おおおっ!」」


「「友人達をぉ、おおおっ!」」


「「パーティーメンバーをぉ、おおおっ!」」


「「ください!」」


「「ください──!」」とね。


 二人は仲良く声を大にして叫んだのだ。


 自分達二人とこの世界──。


 創生されたばかりの新たな世界、大陸、国々、島々で、スリリングなアドベンチャーをRPGゲームのように楽しくハーレムなパーティーで探索しながら冒険と。SGLゲームのような国と国、領地と領地、お城とお城をお互いが大軍を率いて戦場で覇権を賭け争う為の仲間、好敵手、ライバルとして。この創生されたばかりの、新たな世界の歴史に共に名を刻んでいく仲間、友、友人、彼女。戦姫達が、もっと、もっと沢山欲しいと二人──。


 李儒(理樹)と生前では魔王に、暗愚な若君と罵られ、侮られ、蔑まれて。何の活躍。歴史にこれと言った名を刻むこともなく薄幸(はっこう)な生涯を終えた。李儒(理樹)の女神さまこと、劉弁姫さまは、心から思う。思い、祈り。叫べばね。


 李儒(理樹)の女神さま。劉弁姫殿下は、慈愛に溢れた戦勝の女神さまへと変身! 変化を遂げるから!





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