第201話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(12)

 そして彼が少しばかり戦闘を経験して思ったこと、感じたことは、この魔法弾を発射するマスケットタイプの古風な拳銃は、李儒(理樹)自身が簡易的に扱えるといった利点はあるが。魔力消費が半端でない。浪費が激しいと言った欠点があることに、李儒(理樹)自身も気がついたのだ。


 だから彼は、自身が利き腕の掌でにぎるマスケット銃は、長時間の戦闘、戦には向かないのではないか? と、思い始めるから。


(無事に帰る。帰還ができたら。宮殿内で剣か戟を扱えるように練習、訓練もしていこうか)と、呟くのだ。


 でも彼の背から抱きつき抱擁、甘え。時々悪戯っぽく、自身の柔らかい唇を李儒(理樹)の頬や耳、首筋へと柔らかく、優しく触れながら魔力、妖力を譲渡してくれる女神さまは、李儒(理樹)の小麦色のマーメイドさまである。魔王な董卓閣下と一緒で、彼の想い。思案する。考え、脳裏で呟くことは、直ぐにわかる。悟る。理解できる。


「殿には、わらわ達イブが、沢山の補助魔法を使用できる戦姫達がいるのだから……。まあ、わらわ自身は不本意ではありますが。アダム、オス、漢、男性とは、そう言う物。ハーレム王を好むようですから。その辺りは、ちゃんと寵愛。可愛がっていただければ耐え忍んでみせますから。魔王と一緒で……。だから余り魔力の消費のこと、件は、深く思案をしなくてもいいですよ。だから慣れもしない。適性もない。剣や戟、槍、薙刀の使用する訓練などしなくてもいいのでは?」と。


 李儒(理樹)の女神さまは、「クスッ」と悪戯ぽく、彼の背で微笑を浮かべながら。李儒(理樹)には自分達がいる。ちゃんと寄り添い世話を。お世話を老後も介護してやるから大丈夫だと告げてくれる。くれるのだが。


 女神さまが、李儒(理樹)へと説明、説く中で、度々でてくる。登場する。魔王な董卓閣下の名が出る度に、女神さまの声色に棘があるから。その都度李儒(理樹)は、「あっ、ははは」と、笑って誤魔化す。誤魔化してはみるのだが。


 その度の女神さまに李儒(理樹)は、嫉妬心から折檻を受けるのだ。


『ガブッ!』と、彼女に喉を噛まれる。


「痛い!」、


「ごめんなさい。女神さま」と。


 己の肩を竦めながらじゃれ合うように……。


 そう、傍から凝視しても、大変に仲慎ましい様子で謝罪。謝罪をおこないじゃれ、戯れる二人だから。何処かの誰か? そう、高貴で自尊心の強いまさに、金髪縦ロールを持つ、何処かのお嬢さまに召喚をされた。それも、仲慎ましい二人の様子を凝視して、自身でも気づかぬ、嫉妬心募らせ、蓄積された最中に召喚をされた。おチビな一向一揆衆達だから、李儒(理樹)と女神さまの仲慎ましくじゃれあい。戯れる。逢引きをしている最中の様子を凝視すれば面白くはないし。何処かの誰かさんの、代わりに嫉妬心と憎悪を募らせ、蓄積、各自各々が魔力を増幅、爆発させるから。


 その後は、前回の話しや冒頭シーンへと戻る場面へと移り変わることになるのだ。


 そう、李儒(理樹)の絶叫を聞いた夏候惇が、「な、何? 何だ? 今のクソガキの絶叫は?」と、驚愕しながら言葉を漏らしたシーンであり。


 李儒(理樹)自身が、何を見て確認をして驚愕! 絶叫を吐いた。放ったシーンが、今から彼と女神さまの前で、再現をされていくことになる。


 おチビな一向一揆衆達のギャ、ギャと、騒めき、喧騒の中で起きてゆくのだ。



 ◇◇◇◇◇

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