第200話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(11)

 と、なれば、女神さまの持つ宝石のように光り輝く碧眼の瞳が『カッ!』、『キラリ!』と周り。自分達二人へと。


「「「キャ、アアアッ!」」」


「「「キィ、イイイッ!」」」


「「「ケェッ、ケェ、エエエッ!」」」と。


 相変わらず何を言っている。吐いているのかわからない。理解ができない奇声を、怒気を含み、荒々しく叫び、放ちながら武器を、農機を携えて猪突猛進を決行してくるおチビな一向一揆衆達へと女神さまは、碧眼の瞳を光り輝かせ、閃光を放つ──!


「混乱(コンフュージョン)!」と、叫びながらだ。


 そう、彼女、女神さまは、先程李儒(理樹)の動きを停止。束縛した魔法スキル【威圧】だけでなく。新たなスキル【混乱】を覚えて、自身が寄り添い、甘え、抱擁をしながら魔力、妖力、神の力を愛。愛情と言う形で注ぎ込み、労い。叱咤激励! 鼓舞をし続けるだけではなく。彼。李儒(理樹)の、敵兵達への攻撃もサポートし始める。


 だから李儒(理樹)の、おチビな一向一揆衆達を撃破する数──。リセット、デリート、消去の数と、断末魔の数が更に増えてくるのだ。


 だっておチビな一向一揆衆達は女神さまの魔法スキル【混乱】で、いきなりその場──。何か、誰か、自分達の目に見えない縄のロープ、ピアノ線、釣り糸でも張ってあるかのように。己の目に見えない何かに足を引っかけられたかのように急に転がる者や。


 魔法スキル【混乱】のお約束事のような、混乱行動である。自分達の仲間。仲間内で。縦横後ろ関係なく仲間を、己の持つ武器や農機、台所用品等を使用して刺しあい。殴り合い。叩き合いを、おチビな一向一揆衆達、各自各々が混乱をしながら。


「「「ピキャ、アアアッ!」」」


「「「キャアアアッ!」」」


「「「クエェ、エエエッ!」」」


「「「ギャアアアッ!」」」と。


 怒気を含んだ荒々しい奇声をあげ、憤慨しながら仲間内で争いを始めだす者も現れ、自分達の武と力でリセット、デリート、消去──。二人の糧へと自らなってくれるものだから。更に李儒(理樹)と女神さまの経験値が増える。倍増していくのと。


 敵の、おチビな一向一揆衆達の、自分達二人への進軍速度が少し遅れ出したから。


「ふぅ」と、李儒(理樹)は一息入れ、漏らし。肩の荷が降りたような安堵感に浸りながら。女神さまへと。


「女神さま、ありがとう。助かりました」と。


 お礼を告げる。


「いいえ。どういたしまして」と。


 女神さまは、李儒(理樹)の後ろ。背から。女神の微笑を浮かべ漏らし、李儒(理樹)の耳元で囁いてくれた。


『チュ』と、ラブコメ展開のテンプレ、パターンの優しく、愛らしい。頬へのキスもつけ加えてね。


 だから李儒(理樹)自身も「ようーし! もう一踏ん張りだ!」と、明るく。でも威勢よく。


 今度はマスケットタイプの拳銃からの魔弾の攻撃、銃撃を余裕のある攻撃へと切り替えていく。彼の背の後ろで甘えながら補助してくれる女神さまの魔力や李儒(理樹)自身の魔力も無限ではないからね。切り、刺し、殴るができない李儒(理樹)自身は、己の魔力、妖力の残量を見計らいながら攻撃をし、己の様子をみる。窺がわないといかないのだ。


 何せ彼は、戦闘、戦と言う物を初めて経験する訳だからね。




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