第152話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【三】(10)

 この説明を聞けば、尚更、典韋自身と曹仁の二人でこと足りるのではないか? と、典韋は思う。……どころではいか?


 先程から曹操孟徳とじゃれ合うように、後門で口論と言い争いを、声を大にしながら言い争いをしている魏の勇将の一人夏侯惇と魏王の妹君曹仁の二人も己の脳内で、それならば尚更……。


「(孟徳)」


「(姉上)」で、いいんじゃないか? と、思うから。


「孟徳は、あの生意気なガキと逢引きがしたいのだろう……? だったら尚更お前が行けよ。孟徳……」


「夏侯惇の言う通りです。姉上……。李儒(理樹)殿と、二人で仲良く騎乗しながらのデートがしたい。満喫、堪能をしたいのでしょう。姉上は……。じゃ、尚更、姉上が李儒(理樹)殿の警護をされるべきだと、この曹仁も思います……」


「うん、確かに……。確かに、曹仁殿の言われる通り。通りだ。頭……」と。


 最後は悪来典韋が「うん」と、頷きながら。曹操孟徳と告げる。告げた。告げれば流石に、元魏の覇王曹操孟徳であろうとも、己の頭を『コクン』と頷かせ、『わかった。みなの言う通り。通りだよ……。僕が李儒(理樹)の寄り添い。甘えながらデート……ではなく。李儒(理樹)を警護。あいつが。僕の大事な主さまが、我儘ばかりを言う致し方がない者だから。僕が李儒(理樹)の警護をするよ……。じゃ、三人は、後のことは頼むね。お願いだよ……』と、夏侯惇と曹仁、悪来典韋へと告げ嘆願して、己の手を三人の戦姫さまへと振りながら。


『じゃ、いってくるよ』と。


『李儒(理樹)! 理樹ぅっ! 待ってぇえええっ! 待ってよぉっ! お願いだからぁっ!』と、夏侯惇、曹仁、悪来典韋、三人へと告げた後は、自分の先を、お馬ちゃんを駆りながらいく。走る。走行。風の如き、『ある所』、『ある場所』へ向けて疾走する。己の主を、独り言を漏らし、叫びながら追う筈。追ってもいい筈の曹操孟徳なのに。


「だからみんなぁっ! お前達に何度も言う。言うけれどぉっ! 僕がぁっ! 僕が董卓の目につくところ。側にいないと不味い。不味いのだよぉっ! 何でお前達三人はぁっ! こんなぁっ! こんな簡単なこともわからないぃっ! わからない、のだぁあああっ!」と。


 夏候惇、曹仁、悪来典韋の三人に対して声を大にして罵声を放ってくるから。


 三人の戦姫は各自、己の首を仲良く三人で順序良く傾げていく。まあ、当たり前のことではある。


 だから曹操孟徳は、そんな三人に対して、更に言葉を加え告げる。


「お前達三人は未だ恋、恋愛と言う物をしたことがない乙女だから知らない。わからないだろうが。董卓はもう僕のこと……。僕があいつの元嫁、ゲーム内のメインキャラクターで、理樹(あいつ)の本当の心の中の。奥底で好意に思っている……。そう、あいつが本当に好きな。好きな娘(こ)は董卓(自分)ではなく。僕だと気がついていると思う……。だから董卓は、何進から僕を引き抜いて側に置いたのだと思う。僕と理樹(あいつ)を監視する為に……」と、荒々しく。勢いよく。恋と言う物を未だ知らない。乙女な三人の戦姫へと、曹操孟徳の推理、推測を告げ説明をすれば。己の首を傾げ、腕を組みながら。困惑をしていた夏候惇、曹仁、悪来典韋も自ずと、自然と、艶やかに輝唇を順序よく開いて。


「ああっ!」


「そう言えば!」


「確かに……」と声を漏らしていく。


 そんな三人の戦姫、己の臣下へと曹操孟徳は、更にこんな言葉を告げる。


「董卓自身は、今李儒(理樹)のやつが、一人で馬の騎乗訓練を兼ねた散歩……と、言う名の洛陽の外の周りの地形観察をしている。おこなっていることを知っている訳だから。董卓の近く。目につくところに僕がいないとわかると。頭もよく。感の鋭い董卓だから。僕と理樹のやつが仲良くデートしていると直ぐに悟るはずだから。董卓は僕に嫉妬心を募らせ。僕に何かしら罰を与え、この世界から永遠の駆除。葬りさろうとするに違いないと思うから。僕が董卓の見える位置にいないと不味い。不味いのだよ」と。


 夏侯惇と曹仁、悪来典韋へと説明、だけではないようだ。元魏の覇王曹操孟徳はね。


「……多分? 理樹(あいつ)が帰還、戻るまで、董卓の目につくところにいれば。董卓は安心、安堵すると思うから。夏候惇が席……。自身の目につかなくても。僕やその他の将にも問いかけるようなことをしないと思う……どころではないと思う? 多分、惇と僕に? 無言の感謝をしていると思う。思うから……。僕が理樹(あいつ)のことを、これほど想い。気にして、気にかけて。あいつが本当に無事に帰還をするのだろうか? と、気になって仕方がないのだから。董卓の奴も素知らぬ振り。何も気にしていない様子をして見せているけれど。董卓の内心は穏やかではないはず……。あいつの安否が気になって仕方がないはずだから……。そんな落ち着かない気持ちの中で、武勇に優れている惇が、あいつを警護しているとわかれば。董卓の奴は安堵。安堵感に浸ることができるから。素知らぬ振りをするはず……と、いうか? 僕ならするから間違いないと思う」と。






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