第3話

 さて元気なみー姉の宣言を受けて次の日つまりxデイは今日となる。果たして彼女はどんな弁当を作ってくるのか想像もつかない上そもそもまず時間を決めてないのだがそのあたりはどうするんだろうか。

 そんな事を少し前まで思っていたが、突然ドアを開け放って侵入してきたみー姉に全ての思考は吹き飛ばされた。

 「おはよう!よく寝れた? 」

 心配は無用だった様だ。ドアを吹き飛ばす勢いで開け放って来るのは流石に予想の範囲を超えてたけどまあ時間に関しては彼女なりに考えてこの結果なのだろう。

 ちなみに今は朝の6時で僕はいつも朝の7時に起きている。よっていつもより1時間早い起床に目を瞬かせながらみー姉に返事をする事になった。

 「まだ早いよ......」

 「早起きは三文の徳って誰かも言ってたじゃん!ほら起きて起きて!」

 どうやら僕に選択の余地も無ければ起きないと言う選択肢もない様だ。仕方ないので起きようとベッドから降りる。もそもそと着替えようとすると何かを期待する目でみー姉が僕を見ていた。

 「着替えるから」

 「おっけー!」

 力強く親指を立てられる。何がいいのか全然わからない。もしかして宇宙人なのか。たまたま地球の言語が喋れるだけで。そんな想像で自分の意識を土星辺りの宇宙に飛ばす。

 「じゃあまず上からね!」

 そう言って僕のパジャマを脱がそうとするみー姉をどうにか部屋から追い出したのだった。

 朝食は見たことが無いほど豪華なものだった。普段から朝は食パン1枚とかそう言った質素な生活なのだが今日ばかりはそうではなく、昔の漫画の様な朝食だった。焼きジャケ、ご飯、味噌汁。こんな朝食を初めて見て僕は感動してしまったのだった。

 「そういえばきーくん、ご両親はもう仕事に出てるの? 来た時にはもういなかったんだけど」

 「死んだよ」

 特に何の感情もなく答える。両親は3年前空き巣が入った時に運悪く帰宅して鉢合わせし、逆上した空き巣に殺されてしまった。それからなんだか直す気にもならずに家の鍵は壊れたままだ。

 「じゃあ今きーくん一人暮らしなの」

 真面目な顔をしてみー姉が聞いてくる。

 「そうだね。ついで言うと普段は食パンとカップ麺で生きてるよ」

 あの時結局空き巣は人を殺して気が動転したのか金目のものは時計くらいしか持って行かず、遺産としてもらった分で十分生活は出来ているのだった。

 「わかったわ。じゃあ今日の夜から一緒に住みましょう」

 「え」

 突然の申し出だった。こちらとしては別に困ることもないのでいいのだが、昨日久しぶりに会った幼馴染に突然一緒に住もうと言われてもそれはそれで驚くものである。

 「そうすれば私もきーくん守りやすいし!決まりね!」

 そんな僕の意思には気づいてか気付かずか元気に宣言されていた。まあいいか。

 「じゃ、学校行こっか」

 ご飯を食べ終わって片付けた後、みー姉に手を握られる。なんだか不思議な予感とともに、何かに巻き込まれなければいいなあと思いながら僕は家を出たのだった。

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