第4話
家を出てすぐに僕はさっき感じた疑問をみー姉にぶつける。
「ところでさ」
「何」
ニコニコしながら振り向くみー姉。
「両親が死んだ事件結構大きかったんだけど、何で知らないの? 」
心からの疑問だった。当時ニュースにまで取り上げられ、おそらく町内レベルで知らない人間はいない事件だったろう。僕の疑問を聞いてみー姉は少し考えてから答えた。
「私ね、中学卒業まで家出てたのよ。だから最近のこと、あまりよく知らないの」
「何で出てたの」
「そうねえ......修行してたのよ。色々とね」
それ以上聞かれたく無い様だったのでそこで話は打ち止めになる。
「ふーん」
何やらみー姉が悪いこと企んでいる時の顔をしている。
「そっかそっかきーくんはお姉ちゃん大好きだからなー!離れてて寂しかったかー!」
そう言うなり力強く抱きしめて来た。胸で息が苦しい。窒息しそうだ。そんな僕の頭上に声がかけられる。
「大丈夫。もうどこへも行かないし、きーくんの事も絶対に守るよ」
何から守るんだろうと少し思ったが、声に出す前にみー姉は僕から離れてしまった。
「話しすぎたね。遅れちゃうから走ろう!」
そう言って僕の手を掴み、走り出す。
「わ、わ。1人で走れるよ」
「ダメダメ!すぐにどこか行っちゃうんだからちゃんと手を繋いで無いとね!」
こうして、どこかで長い間なにかの修行をしていたみー姉と僕の、久しぶりの長い会話は終わったのだった。
ところで会話中に聞きそびれてしまったけど、みー姉が背中に背負っていた登山に行く人の様なリュックは何だったろうか。今日のお昼までに運動をたっぷりしておかないといけないかも知れないな......とおもっているうちに学校に着いたのだった。
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