【ヒッチハイク】さくさくスナック小説
くろーばー
【ヒッチハイク】
夢を見た。
幼い頃から何度も見ている夢。
夢の中の私は着物を着ていて、小さなお茶屋で働いていた。
お団子が好きだというお侍さんに、毎日会うのが楽しみだった。
いつもは大体こんな話し。
でも、今日は続きがあった。
なんでかは分からないけど、私が住んでいた村が火の海に包まれていた。
皆が寝静まった頃に起きた火事。
私は火の海の中、動けなくなっていた。
手が赤くなっていたのを覚えてる。
あれは、血かな?
一瞬ちらりとお侍さんの顔が浮かぶ。
手を伸ばそうとしたら、目が覚めた。
あの夢は何なんだろう...。
私は、夢のことを思い出しながら支度を済ませると、車に乗り込み発車させた。
今日から、冬服セールが開始する。
早く行かないと良い物がなくなっちゃう。
はやる気持ちを抑えつつ運転していると、前方に白い画用紙を持った青年が見えた。
ヒッチハイクだ。
どうも、ヒッチハイクで旅をするアニメが放送されてから、若者の中で流行っているらしい。
自分探しだとかなんとか。
このご時世、知らない人の車に乗るなんて勇気があると思う。
そんなものに乗って、何が起きるか分からないのに。
勿論、乗せる方にも言える。
そんな危ない橋、渡りたくないから無視する。
そう、いつもならそうしていたのに...。
今日は、なぜか気になる。
私は、自分に対してため息を付くと、青年の前に車を停めた。
窓を開け、青年の顔を見る。
ぽとりと涙がひと粒落ちた。
【ヒッチハイク】さくさくスナック小説 くろーばー @cocoa7128
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【ヒッチハイク】さくさくスナック小説の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます