魔法少女戦録メサイア 断罪のヴァンゼッヒⅡ

――断罪の天使編――

ープロローグー

０話 その爪痕の先は

　その日――地上は野良魔族で溢れ返った。

　天楼の魔界（セフィロト）衝突の危機は免れた世界――しかし魔界で造反した導師ギュアネスの策はそのまま止まる事を知らぬ戦力を地球へ送り込む。

　辛くも【宇宙と重なりし魔の者（マガ・フォース・レイアー）】に目覚めた魔界の王女――姫夜摩（ひめやま）テセラと、彼女を支える三神守護宗家を初めとする者達の活躍により、ようやくの日常を取り戻す事となった世界。

　訪れた日常は、ささやかな日々の訪れが続くかに思われた。

　――しかし、地球と魔界の両世界は未だ先の大戦の傷跡を引きずり、魔界側の状況回複のため――その地を故郷に持つ王女は帰郷を決意する。

　そしてそこには、導師側から救い出された吸血鬼レゾンの姿もあった。

　そう――世界はまだ、傷跡を舐め合う余裕しか持ち得なかったのだ。

　地球と魔界衝突回避と言う世界防衛を成し遂げ――その中心となった魔法少女達。

　これはその中で裏方としてではあるも、極めて重要な役割をこなした少女――主への祈りを狂気に変える断罪天使の物語――

　――舞台は姫夜摩（ひめやま）テセラが魔界へ帰郷して程なく、初夏の太陽がギラつき始めた頃の地球は日本東首都より始まった――