あなたは運命の人ですか?彼女になってくれませんか?

白虎

第1章 高校初めての恋

第1話 入学式


時は4月、俺、北野優(きたのすぐる)が今日から3年間通う北学園の入学式。


体育館で定番の校長先生の話を聞きながら、新しい友達、新しい学校生活の始まりに思いを馳せ、少し浮ついた気持ちで椅子に座っていた。


退屈な話が終わり司会の先生からマイク越しに指示がだされる。



「では、体育館後ろに掲示してある名簿に従って自分のクラスに各自移動してください。」



そうして俺を含め生徒達はのろのろと動き出す。



「ええと、俺のクラスは、と、、、」



人混みの中、名簿を確認していると、急に後ろから声をかけられた。



「お、優(すぐる)じゃん! また同じ学校だねー、ってか同じ クラスだし。もう何年目だよ〜、、、。正直もう、うんざりなんですけど。」



と笑いながら俺に話しかけてくるのは、小学校から中学校まで9年間クラスが同じ、更には高校でもクラスが同じとなった幼馴染の倉敷春香(くらしきはるか)である。


容姿端麗、清廉潔白、頭脳明晰、あらゆるカッコイイ四字熟語がぴったりで、まさに男子にどストライクな俺の幼馴染だ。



「おー、春香じゃん。こんな美青年といつも同じ空間にいれるなんて幸せ者だな。お代は高くつくぜ。」



と、調子よく返事をする。



「美青年なら彼女くらいできるはずでしょ?彼女いない歴=年齢の美青年に何いわれても苛立ちすら覚えないんですけど?」


まるで見下したような目で春香に睨まれる俺。




こ、こんなやり取りで、ある種の定番幼馴染キャラに、ときめきなんか覚えたりしないんだからっ///

か、勘違いしないでよねっ///




「うっせ。俺の輝かしい高校デビューを間近で見てろよ。絶対彼女作るんだからな」



と、思わず控えめに言って超絶美少女の幼馴染の前でそう宣言してしまう。


ここで1つ断っておくが、俺は春香を好きになった事は一度もない。そして、これからもだ。近くに居すぎたが故ということだろう。



「それさ、中学の入学式の時も聞いた気がするんだけど、、、。これがいわゆるデジャブね。」



そういえばそんなこともあったなぁ、と思いながら春香から目を逸らし再び名簿へと目をやる。



「おい春香、A組だってよ。ここで無駄話してる暇ないぞ、早く教室行くぞー。」



「はいはい、了解しましたよっと。 ん?てか、なんで一緒に行くことになってんの?勘違いされたら春香の高校デビュー台無しじゃん。」



本気で顔をしかめながら俺にそんなことを言う。


おっと、本気で嫌われてんのかな?

いくら付き合い長くても傷つくゼ☆


そうして、周りから見ると「こいつら知り合いなのかな〜?」と思われるくらいの距離感で3年A組の教室までの道のりを進んだ。



外では、まるで俺たちの入学を祝うかのように桜の花が咲き誇っていた。

新しい何かが始まる。そう思いながら窓の外の桜に目をやった後で教室へと足を踏み入れた。


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