カワウソの興味・ジャガーの夢
平城山 松前
「そこ」
彼女は、「そこ」に立っていた。
なぜ「そこ」に居るのか、どうやって「そこ」まで来たのか覚えていない。
そして、周りには誰もいない。
とりあえず「そこ」から出ようと足を踏み出そうとしたその時、
逆風が吹いてきた。
一瞬驚いたが、気にせずに進もうとしたら、
足が重くてほとんど動かない。
もう、「そこ」から出る意思を無くし、しゃがみこんでしまった…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はっ!」
最近、同じ夢を見る。あまり怖くはないのだが、えも言われぬ不安が襲ってくる。
いつも通り仕事に向かおうか。
近くにいたボスから2,3個じゃぱりまんをもらう。
「さぁ〜て、仕事開始だ。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今日もいろいろなフレンズと会った。
飾り羽が綺麗な鳥のフレンズ、臆病な白いフレンズ、じゃぱりまんを食べている白と黒のコントラストが綺麗なフレンズも居た。
しかし、「あの子」は来なかった。
やはり、捕食者・被捕食者の関係に怯えたのだろうか。
それとも、他のフレンズと遊んでいるのだろうか。
もしそうだとしたら私との会話にはもう飽きてしまったのか。
いや、分からん。
明日は、会えたらいいな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今日も、あの夢を見た。今日でもう半月ほどだろうか。
仕事をしようと川に出ると、雨が降っていて氾濫していた。
「コレじゃあ仕事ができそうにないよ。どうしようかな。」
仕事を暇つぶしと兼ねていた彼女は、突然の休暇に何をすればいいか分かならかった。
しかし、「したい事」はあった。
「あの子」と会う事だ。
「あの子」がいつも遊んでいるところは知っている。
あそこに行けば「あの子」に会えるかもしれない。
そう思い立ち、足を踏み出そうとしたその時、逆風が吹いてきて雨粒が顔に当たる。
それでも会いに行きたい。
足を踏み出そうとしたが、泥に足がとられて転んでしまった。
それでも泥まみれになった体を上げ、泥まみれになった足で走った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ついに「あの子」の遊び場に着いた。
走っている途中、夢で見たのはこういうことだったのかと納得した。もうあの夢に囚われることはなさそうだ。
果たしてそこに「あの子」は居た。
「お?ジャガーどうしたの?って泥だらけじゃん!泥遊びしたんだね!いいなー!私も誘ってくれればいいのにー!」
やっぱりいつも通りの「あの子」だ。
「ごめんカワウソ、1つだけ聞いていい?」
「どうしたの?」
「なんで昨日会わなかったのかなぁーって。あ、怒ってるわけじゃないよ?ただ単に気になるだけだから。」
「あ、昨日ねー。そういえばジャガーの船に乗るの忘れてたなー!で昨日ね!インドゾウちゃんに肩車?っていうのをしてもらってたの!あれも最高に楽しかったよ!で途中で頭を木の枝にぶつけちゃってね!あれから少し意識飛んでたんだよ!」
「だ、大丈夫なのカワウソ!?」
「へーきだよ!ほら!いつもの私でしょ?」
そう言うとカワウソは滑り台を滑り降りた。
「たーのしー!」
「確かにそうだね。じゃあ私に怯えたわけじゃなく?」
「私も昔は怯えてたけどもう大丈夫だよ!」
「私に興味が無くなった訳でもなく?」
「ジャガーと居るのが一番たのしーんだよ!興味がなくなることなんてないよ!きゃはは!ジャガーって変なこと考えるんだね!おもしろーい!」
「そうかもしれないな!ははは!」
一日離れただけなのに、久しぶりに会ったような感覚を彼女は不思議に思っていた。
話は夕方まで続き、雨も上がっていた。
そんな中彼女は思い切って言った。
「今日、一緒に寝ていいかな?」
「ジャガーがそんなこと言うなんて珍しいね!いいよ!」
「ありがとう!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
彼女は、「そこ」に立っていた。
なぜ「そこ」に居るのか、どうやって「そこ」まで来たのか覚えていない。
しかし、いつもの「そこ」と違うのは、隣にカワウソがいた事だ。
さらに、とりあえず「そこ」から出ようと足を踏み出そうとしたその時に、
順風が吹いてきた。
一瞬驚いたが、気にせずに進もうとした時に気づいた。
足もとても軽快に動く。
そして、二人で「そこ」を歩き回っていると、不思議な光が見えた。
二人は思い切って飛び込んでみた。
爽やかな朝を迎えた。
カワウソの興味・ジャガーの夢 平城山 松前 @narayama_masaki
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