第95話 優しい記憶

 梅雨に逝ってしまったあなた。

 自宅に届いた遺骨を、粛々と受け取って、ハンバーガーと一緒に食べた。

 あなたの代わりはいないけれど、寂しさに別の愛を求めてしまう。

 だけど、ふとあのころのあなたのぬくもりを感じ、あなたが想い出になってしまったことを思い知る。

 あたたかい。優しさに抱かれているようだ。

 いつまでも立ち止まっていてはいけない。そんな言葉が脳裏をかすめるけれど、やはり、忘れられない。

 この思い出と共に生きていく。

 あなたがいないこの世で、やさしさだけを抱いて。

 いいでしょう? この記憶が想い出にかわるまで。あなたを感じていたい。

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