第50話コミュニケイト

 頭の中がもやっとする。嫌なことも結構あるが、大老には言いにくいのだ。

 どうすればいいでしょうね?

 :来ないでいいのに……。

 すみません。

 :勝手にしろよ。

 なんでそんなに擦れてるの?

 :拗ねてんだよ。

 なんで。

 :コミュニケーションないから。

 !(ポンとな)

 :リアクションはいい。

 昨日はだるかったんだよ。

 :一生懸命、書くんだろ?

 頭がもやもやしてどうにもならなかった。

 :あっそう。

 カルピスどうぞ。

 :ん。(ずちゅー)

 …

 :んで、どうしたの?

 やっぱり一日に一回はここへ来ないとダメかな。

 :んー。どうしたの?

 いや。昨日朝食に米飯を省いたのね。すっぱかったから。

 :あー……。

 そしたら、頭が働かなくて。ぐったり。

 :そういうわけか。

 うん……ごめんよ。

 :こっちこそごめんなさい。

 どうして?

 :ごめんなさい。

 わけがわからないな。

 :いつも、恐れ入ったりして、ごめんなさい。

 え? え? まあ、大吟醸、呑んでください。

 :あ、いいの?

 まあ、まあどうぞ。どうぞ。

 :悪いね。

 …

 :友達がいないねー。

 居たらいたで、いろいろ面倒だから。

 :そりゃそうか。

 :むやみやたらと居てもねー。

 :ひがみも言うし。

 :なしのつぶて。

 :手紙にいろいろ書いても、返事は「あっそう」。

 なら、いなくていいよね?

 :確かに。

 :たしかに。

 傷つけられるの、嫌だもんね?

 :そうだろうけど。

 :なるべく他の人と会話、かいわ。

 返事が「あっそう」でも?

 :それは嫌だ。

 :それは別に、その人を相手にしなきゃいいわけで。

 そっか。

 …

 友達は選ばないと。

 :だから、選ばないとって言いながら、「遊ばないと」にしなきゃ。

 友達と遊べって?

 :そう、そうだよ。

 遊ぶとお金がかかるしなア。交際費バカにならん。

 :いつまでもいつまでも、お金にしばられるな!

 カラオケならうちにあるし、プリクラならららぽーと横浜で撮れるし。遠出する意味がわからん。

 :逆よ。

 :大人になってもそんなんで遊ぶ人いる?

 :暇?

 わたくし暇よ。

 :暇かー。なんていうんだろね。暇じゃない人がいて、突然箱根に行こうって言ったじゃない?

 はい?

 :そういうときどうするの?

 その日は空いてないからって断る。

 :断る? 暇なのに?

 そんな遠出は嫌だよ。おうちがいい。

 :おうちが一番なのね?

 箱根へ行ってなにするのかわからん。

 :デート!

 お友達なんでしょ? なんでデート?

 :いいから、早く予約をとって!

 嫌だよ。いやだよ。

 :未熟者めが。

 箱根行かなきゃ未熟なら、一生未熟でいいよ。箱根なんていきたくないよ。

 :OK.

 足、疲れるし。

 :行ったんじゃねーか!

 子供の頃にね。

 :あのねー。

 いい思い出がないんだよ。旅行なんてつまらん。家でのんびりしてた方が好き。

 :まあ。

 :あのね……。

 お金がかかるしね。

 :大丈夫だって。彼氏もちだから。

 後でなに要求されるかわからないし。嫌だ。

 :いや? いやって……あなた、欲求不満なの?

 眠たい。

 :やめろよ。純文学になるから。

 疲れた。

 :もういい!

 山登りで疲れるのと、大吟醸飲んでるのと、どっちがいいのよ。

 :大吟醸。

 やっぱり。

 :(笑)

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