第22話

 百里の道を行くときに、九十九里をもって半分とせよ、という。枚数的にここから盛り上げていかなければいけないのだけれど、どうも弾みがつかない。

 :うー……閉じこもってるからじゃないの?

 :もっと広く世界をみようよ。

 まあ。そういうテーマですしね。

 :野暮。

 まあ。主人公がぼやっとしてるのが悪いのかもしれない。予定通りで行くと、ラストまでポヤンとしている感じだ。

 :そこは、さじ加減を見て、ピリッと。

 :そうそう、決まり文句言わせて。

 決め台詞のまちがいでは?

 :あ、そうそう。

 クライマックスに向けて、どんどん周囲を変化させなきゃなんだけど、「おやぶんてえへんだ!」ってキャラがいない。

 :そういうふうに言ってよ。弾みがつかないとかさ、ぜんぜん具体的じゃないの、なんなの。

 枚数が100か90か80かで、盛り上げ方が違ってくるから、そこをまず決めておきたい。希望は100枚。現実的だと思う?

 :思う思う。

 でも、しだいにラストへの力学エネルギーが落ちてくる瞬間っていうのがあると思う。

 :やはり。

 :勉強のしすぎじゃない?

 :おまえ、燃えたぎるもんがねえよ。

 あるいは夜の高揚感に任せて、書きなぐってしまうとか。運を天に任せて。

 :そのためには?

 昼間寝る。

 :器用なヤツ。

 精神的にきついんだよ、すでに。

 :じゃあ寝ろ。

 夜更かしアンド早起きだから、寝てないのと同じなんだよね。寝るか。

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