創作についてのエトセトラ

れなれな(水木レナ)

第1話発症したのは中二の時でした

 まあ。描けたし、いいでしょ。


 わたくしはみささぎ真守。この作品の作者である。


 今でない、そう遠くもない時間に、己の小説のキャラクターラフ(顔だけ)(笑)を上げた。


 cocommuというサイトで、イラストをUPするのだけれど、わたくしは着色が苦手なために、カメラに収めたアナログな暗い画面をそのままUPしている。


 デジタルっ子になりたい……。


 そう思わなくはないけれど、一つの欠陥を直した結果、全てが台無しになることがあるのを知っているため、いまいち乗り遅れてしまっている。


 それでも、描き上げた瞬間はついつい『私って天才!』と自画自賛する瞬間はある。


 大抵は細部のどうでもいい点において、やれ線がうまく描けただの、キャラの表情が思うように描けただのというささいなことで――でも、ただの漫画絵を恋人のように慕う真守にとってはかけがえのない瞬間だった。


 このみささぎ真守は、実は小学生の頃はアニメーター志望だった。


 漫画をよく読み、先達の絵を愛していた。二次創作だろうと、オリジナルだろうと、愛しいものへの想いは尽きなかった。


 尊敬するあまり、影響を受けるどころかまんまコピーしてしまう悪癖があり、しかもそれを生かすにはアニメーター以外にないと思いこんでいた。


 つまりは、オリジナルが描けない、ということに尽きた。


 絵は描ける。が、話がかけない、という悩みもあった。解決するために小説を書くことにした。


 まず、小説家になる方法として、日記をつけたがよかろうとリングノートに毎日妄想を書きつけた。妄想の日々だった。


 次に、小説家の文章を別のノートに書き写した。楽しかった。


 その頃のノートが残っていればだが、授業のノートの三分の一くらいはネタ帳と化していた。


 後にそれをもとに少女小説を書いたが、壮大な妄想が入ったため無駄に広々とした世界観になってしまった。


 わたくしにとってはキャラクターは命。一つ一つがかけがえのない、いのち。


 そう、思いこむが故か、そうでなければなんなのか――わたくしの脳内キャラクターは自分の意思でどうでもいいおしゃべりをしだすようになってしまったのだ。


 どうでもいいと書いたが、あまりどうでもよくない。


 内容はドシリアスで、全員厨二病を発症していた。


 中二からすでに社会の歯車となる素養はたっぷりで、「私の代わりはいくらでもいる」と死ぬ気で思っていた。後に綾波レイがとても身近に感じられたのはいうまでもない。


 当時アニメーターは、ひどい労働環境で有名だった。そんなところに就職する気満々だったわたくしは命知らずもいいところ。


 いや、だからこそ。本当に死にかけてからは、そうもいかなくなった。


 保護入院させられ、道を閉ざされ、薬漬けにされて。もう、運命というものがあるのなら、全てがわたくしの前を阻んだ。


 そこで運命を砕こうという精神の持ち主ならば、ここでこんな文章は書かない。わたくしはこれでもリアリスト。


 描けないのなら、書けばいい。だから、全身全霊で好きなものを抱きしめるように、この文を書く。


 運よく楽隠居の身の上だ。


 生き急いだあげくのことだ。あきらめろと神が言っているのだ。


 いや、もしかすると……神はわたくしに、生きろと言ってくれたのかもしれない。


 このささやかな事実にうちのめされる内気な感受性を、お守りくださったのかもしれない。


 もう一度運命がわたくしに死ねと言ったなら、今度は間違いなく死ぬ。そういう生き物だ、わたくしは。


 だから、今は生きよう。


 好きなだけ、好きなものを書いて、書いて、遊ぼう。


 神宮にものや遊べと蝶が舞う 悠久不滅の瞬きの間に(即興)


 なーんだ、一句できたじゃん。今日はもう、他のことをしよう。歴史漫画でも読もう!

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