第3話失踪

仕事終わりに伊善鏡太郎いぜんきょうたろうは同僚の御倉久典おぐらひさのりと居酒屋へ入った。


同僚の御倉は同期で10年来の友人である。


生ビールで乾杯してつまみを頼む。


「そういやお前秘書課の折口玲子おりくちれいこと付き合いあったよな?」


御倉は上着を脱ぎつつ切り出す。


「別れて半年が経つ」


鏡太郎は大して感慨がない事に気付く。俺も本気じゃなかったんだな。


「彼女失踪したらしいぞ」


「え?行方不明なのか?」さすがに驚く。


「上は隠してるが、どうも厄介な事件に巻き込まれたらしい」


御倉はふーと息を付く。


鏡太郎はそれ以上聞くとやばそうなので、ジョッキを置き入口へ目を泳がす。


「失踪が判明したのは3、4日前らしい。世間は狭い。俺みたいなヒラにも筒抜けだ。信憑性はない情報ではあるが、お前も気を付けろよ」


鏡太郎はもう一杯ビールを飲み、「分かった、気を付けるよ」と答える。


2018(H30)4/3(火)







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